
昔、遠野盆地が湖、もしくは湿地帯だった為に、オコリという病を患う者が多かった。今でいう、マラリア状の病である。里人達は左ないの注連縄を、自然石のまわりに張り、オコリ病を治るよう祈願し、後を振り返る事なく家に帰ると、不思議にその病気が治ると云われていた。


後ろを振り返ってはならぬというタブーは、ギリシア神話で紹介されるオルフェウスの話。また、日本の昔話や神話にも多く見受けられる。要はタブーという足枷を付ける事により、病気が治るようにという想いがより重く伝わってくる。
当時は今ほどに、医療技術が発達していない為、また薬があったとしても一般庶民には手の届かぬもの。だから当時、頼るものは神仏しか無かった時代が長きに続いた。今ではこの石も道路より外れて、誰も気付かぬ者が多い。ひっそりと佇むこの石に、時代の変遷を感じる。