綾織には、遠野三山の一つである石上山を別格として、他に3つの霊山がある。
笠通山、二郷山、そして桧沢山だ。
桧沢山は、土室峠の東方に連なる820mの山だ。この桧沢山は綾織では「ひざ
ん」と呼ばれ、親しまれている。この桧沢山に伝わる話には、この山裾の村落に
死者があれば、その霊魂を四十九日間、忌明けまで留め、血縁者、見慣れし故
郷への別離を心行くまで遂げさせる山と伝えられている。
その伝説の由来は山頂にある、巨石群からきているようだ。磐には神が降り立つ
とも云われ、小友町では物見山から桧沢山に連なる山をまとめて長富士権現とし
山中に麻神の祠を祀り、信仰の対象としていたようだ。
麻に対する信仰は、日本の古来から根強く、薬物大麻が南方から伝えられてから
その幻覚症状わ魂の抜ける様と称されていた。また山には魂が登るという山岳信
仰と結び付き、その神となった魂が鎮座する桧沢山の山頂にある巨石群に留まる
と思われたのだと考える。
山頂から東よりの斜面から、遠野盆地が見渡せる。
全て掲載できないが、巨石がゴロゴロとしているのが桧沢山の特徴だ。