遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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立丸峠(星名)

立丸峠(星名)_f0075075_13020328.jpg
秋田の知人から、連絡が来た。何でも、遠野で一泊二日で地名研究のイベントがあるので参加しているのだと。ただ宿泊は強制的に遠野アエリアになっているので、泊る事が出来ないと。その代わり、わざわざパンフレットを持って来てくれた。そういえば何年か前も、遠野で地名研究会があったものと覚えている。その時は、故・谷川健一氏も参加していた。今回もだが、自分は、そのイベントがあるという情報すら知らなかった。何年か前の地名研究会でも、谷川健一氏が要らないからと、そのパンフレットを戴いた事がある。

ところでパンフレットの内容をざっとは読んだが、その中に立丸峠についての記載があった。立丸峠については以前、マラが立った男の、笑い話のような語源を紹介した事がある。そして今回の地名研究会では、「奥々風土記」「邦内風土記」に立丸峠付近には「龍丸山」が記されており、また藩内絵図に「辰丸山」と記されている事から、「龍丸山(たつまるやま)」が簡略化され、立丸になったのではと考えられると結んでいる。これは、間違いでは無いだろう。龍丸から立丸は、ある意味好字への変化でもある。ただ気にかけて貰いたかったのは、何故に立丸峠と、幼名や船に付けられる「丸」という字が、峠に名付けられたのかという事。遠野で「丸」の付く地名は土淵町の「丸子」と、上郷町の秋丸峠くらいか。
立丸峠(星名)_f0075075_15431722.jpg
「丸(マル)」はポリネシア語で「船」という意味になる。つまりそのまま、船に「〇〇丸」と船名を付けるのは、当然の成り行きでもある。しかし、山の峠に何故、丸が付いているのかには、説明にならない。ところで「マル」の語源を辿って行くと、中東の「ムル」に由来するらしい。「ムル」から「マル」への変化だが、元を正せばその意味は星の意となるようだ。日本にもマルが星を意味する言葉があった。それは「昴」だ。「昴(スバル)」は別に「スマル」とも言い表すが、どちらかといえば四国・中国地方・九州において顕著のようである。清少納言は「枕草子」において「すばる」と読んでいるが、その出典は「和名類聚抄」からきているだろうとされている。ただその大元は「日本書紀」「古事記」に記される「御統(みすまる)」である。七女神の神話があるプレアデス星団である昴は、七つとも六つの星を統べる存在からきた名である。

志摩(しま)という、地名であり国名があった。その志摩は「七辰(すまる)」からきているともされる。七を「す」と訓むのは古来、七斗(しと)の変化であったようである。そして辰を「まる」と読んだのは、辰星の影響を受けての事であった。辰星、すなわち北辰の意である。立丸は辰丸からきているとされるが、辰丸そのものが星の意である。つまり辰丸は辰の星であり、北辰を意味する。

星は、古来女性の神格を付与させられていた。妙見は斗極とも言うが、元々は星見の天女ともされていた。吉祥天の名も、胡語「ギタ」の音写から始まり、北の語源になった。また妙とは先に紹介した「ムル」の漢訳から「妙(めう)」とされ、古代においては布留とも書き表した。その布留は比咩・比売の意になり、後に好字変化し姫と記されるようになった。物部氏の信仰した布留の神は「円空と瀬織津姫」でも記されているよう、早池峯の神でもあった。また立丸峠と同じく、丸の付く峠は、埼玉県の正丸峠があるが、秩父妙見でも知られる秩父神社との関係があるようだ。

ところで立丸峠には男根の立ったマラからきているという説もあるのだが、要はコンセイサマである。コンセイサマのコンは「金」と表記する。それは、山に埋もれる金でもある。金とは、金属全般を意味するが「日本書紀纂疏」によれば、星が堕ちて石となるとあり、石そのものも山から生れた物と認識されている。全国各地で祀られる御神体である石が、星と結び付いているのはその為である。遠野の山崎のコンセイサマは自然石であるが、これが御神体となるのは、自然石であり、星と結び付くからでもある。何故ならコンセイサマの自然石が大きければ大きい程、大地でもある山の神との結び付きを強くするからである。金精を祀る神社の殆どが、子宝を願う。子は「ネ」とも読み、子の方角は北。また子は根でもあり、山伏用語で鉱物を意味する。始閣藤蔵が早池峯の神に対して金が見つかったらお宮を建てると誓ったのは、早池峯の神は北に聳え、子を生む存在でもあるからである。

坂上田村麻呂の蝦夷平定の後、布教をしたのは天台宗の密教系である。密教系は、明星を信仰する。明星とは、日と月が結び付いて出来た存在であり、それは星である。つまり星とは、日と月との結び付きで生まれたもの。その星は、石となって人々に信仰された。星でもある、その石のコンセイサマの伝説が立丸峠にあるのは、何も不思議ではない。峠が境界であるのは、ある意味人間が踏み入れる事の出来ぬ場所との境界と考えて良いだろう。各風土記にいくつか記されている、山の女神と男神の争いの話は、境界の争いでもあった。その争いに勝利したのは、全て女神である事を考えても、山の境界に立つ神とは、山の女神である。そこにコンセイサマを捧げるのは、至極当然の事である。

恩徳集落の琴畑側の山には、早池峯の遥拝所がある。また恩徳で祀られる熊野神社の奥宮も恐らく、早池峯の遥拝所では無かっただろうか。熊野大神とは、早池峯の神でもあるからだ。ともかく立丸峠は、その名から妙見信仰による地名であり、それは早池峯信仰と結び付いてのものであったと考える。

by dostoev | 2019-06-20 18:08 | 遠野地名考
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