遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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瀬織津比咩の祭祀其の四十五「三ツ石神社(早池峯の女神影向石)」

瀬織津比咩の祭祀其の四十五「三ツ石神社(早池峯の女神影向石)」_f0075075_05250255.jpg
伝説によると、昔この地方に羅刹という鬼が住んでいて、付近の住民をなやま
し旅人をおどしていました。そこで人々は、三ッ石の神にお祈りをして鬼を捕
らえてもらい、境内にある巨大な三ッ石に縛り付けました。鬼は二度と悪さを
しないし、又二度とこの地方にはやって来ないことを誓ったので、約束のしる
しとして三ッ石に手形を押させて逃がしてやりました。

この岩に手形を押したことが「岩手」の県名の起源といわれ、又、鬼が再び来
ないことを誓ったので、この地方を「不来方(こずかた)」と呼ぶようになったと
伝えられています。鬼の退散を喜んだ住民達は幾日も踊り、神様に感謝のま
ごころを捧げました。この踊りが「さんさ踊り」の起源ともいわれています。

                      「三石神社案内板」

瀬織津比咩の祭祀其の四十五「三ツ石神社(早池峯の女神影向石)」_f0075075_05251449.jpg
岩手の県名になったとも云われる三ツ石神社の三つの石。これは三ツ石様とも呼ばれる、鬼を退治した石でもある。何故急に、盛岡の三ツ石神社を取り上げたかというと、ここにきて盛岡の早池峯神社に伝わる「早池峯神社略縁起」が気になったからである。この「早池峯神社略縁起」は、岩手神社庁だけに伝わり、一般的には広まってないものである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そもそも新山大権現之本地を尋ね奉るに、人王五十代桓武天皇延暦十四年乙亥三月十七日當山江、三柱姫神達、天降満します也。新山と申すは古起松杉苔むし老いた流枝に蔦蔓生え登り、山葉に曳月はかすかに見ゆ木魂ひびき鳥の聲あたかも、深山幽谷の如し。南に北上川底清く、水音高く御手洗也。雲井に栄え登る月影浪に光を浮かしめ、北は千尋に余る、廣野と萩薄生え繁。是を名付けて、新山野と申す也。

四方青垣山にして宝殿棟高く、御床津比の動き鳴る事なく豊明に明るい座満たして宣祢禰宜の振鈴、いや高く響、茂あらたなり今茂かわらぬ。三つの石あり、三柱姫神鎮座満します。故是を影向三神石と申す也。

然に氏御神天降給故を尋ね奉るに、東国魔生変化の鬼神充満し、多くの人民をなやまし、国土を魔界に成さんとせしを、天帝聞し召せ給、田村大明神を天降し、悪魔化道退散なさしめ、国土を治め給いしとかや、弘仁二年巌鷲山田村大権現と顕れ給い妃神を王東山大権現と顕し給いしとかや、其の御子三柱の姫神當山鎮座満しまし給、姫神達折々四方を御詠有りし遥か東方に雲を貫く高山あり。旭の光々たり、月の満々たるも、峰の高きを貴み給いて曰く我等山川の清を求め峯の高きに登り末を守らん。爰に我等の三躰を残し置くと宣いて、東方へ行幸ありしとなん。

人民肝留以催し、跡伏し拝み、悉く信心す時に姫神達東山に登給いれるに、童子一人顕れ、かれに山々を問わしめ給へば、童子指さし向に見ゆるは、於呂古志山、何方は大石神山此方は早池峯山と申す三つの山也。中にも峯高く絶頂盤石四方巌々として空にそびい鳥類翼を休めがたし。閼伽井より冷泉湧き出る是を名付けて早池峯と申す也。常に紫雲靄起こし、音楽の音止まず。折々天人舞い下り、不測之霊山也と言うを終わらず、虚空に上り雲中に声有。我は、是一の路権現なりと失せ給ふ御跡拝み伏す。

天に向かい此の三つ山、授け霊験を下し給いと祈り給へば、不測屋奈末の妹神の御胸に八葉の蓮華光曜として、天降蓮華の?に舞光を放ちて飛び、早池峯山大権現と顕れ給い、姉神は大石神山大権現と顕れ、第二姫神於呂古志山大権現と顕れ、国土を守り給いとかや況や御神徳著しき事、當社に先魂坐す故當社を早池峯新山大権現と齋奉流也。又神道には、瀬織津姫也大権現と書て大権現と讀み奉る也。古今の霊場にて弥陀薬師観音の三像相殿に敬い奉る事、其の徳社に満りと云々。

                          【早池峰神社略縁起】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この「早池峰神社略縁起」の冒頭部分から、この縁起は盛岡土橋の早池峯神社に関するものだと簡単に思っていたが、よくよく読むと違う事が理解できる。総じて言えば、遠野三山の由来でもあるこの縁起書の最初に三柱の女神が影向した石が紹介されている。その場所は、土橋というわけではなく「四方青垣山」という記述から、どうも盛岡全体を示しているものと理解できる。その四方青垣山に囲まれた地(盛岡)に、三つの石があると。

三つの石あり、三柱姫神鎮座満します。故是を影向三神石と申す也。

時代は、坂上田村麻呂時代となる。その時代に鬼退治をしたというものであるが、早池峯の女神である瀬織津比咩の岩手県における古い歴史は、鬼の平定の為に養老二年、熊野から室根山へ運ばれて来た事であった。鬼を平定した三ツ石神社の三ツ石様が何故に三つの石なのかは、どこにも伝わっていない。土橋の早池峯神社にも、その三つの石は無い。鬼を平定した三つの石として伝わるのは、三ツ石神社の三ツ石様以外にないではないか。恐らく三ツ石神社の三つの石に、早池峯の女神を中心とする三女神が影向したものと思われる。岩手県には、早池峯を中心とする三女神伝承がいくつかあるが、本来は早池峯の女神である瀬織津比咩から始まったものが、この「早池峯神社略縁起」を基点として、三女神伝承が広まった可能性もあるかもしれない。ただ、この「早池峯神社略縁起」のスタンスが、あくまで盛岡地区を中心としている事に加えて、かって東峯と呼ばれた早池峯山を「東方の雲を貫く高山」と紹介している事から、早池峯山が当初、東峯と呼ばれた原型であるのかもしれない。ともかく、今まで気にしていなかったが、この三ツ石神社の三石に、早池峯の瀬織津比咩は降り立ったものと思って良いのではないか。

by dostoev | 2019-02-04 06:12 | 岩手県の瀬織津比咩
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