遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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南部鶏舞トイウモノ

f0075075_15465680.jpg
早池峯神社の夜神楽に、鶏舞がある。この鶏舞は、南部神楽の演目のようである。それ故に、画像でわかるように早池峯神社の幕には、南部の家紋が描かれている。この鶏舞は、「古事記」においては天岩戸に籠った天照大神を出そうと、常世の長鳴鳥を集め、互いに長鳴きさせた事を再現したものだとされている。長鳴鳥は、鳴声が暁を告げ、闇の邪気を祓う太陽の神使とされている。伊勢神宮の神使が鶏になっているのは、この「古事記」の記述によるものである。
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ところが鶏舞は、雌雄の鶏が踊るものとなっている。東北において雌雄の鶏で、何を思い出すだろうか。それは恐らく、奥州藤原氏が金鶏山に黄金の雌雄の鶏を埋めた伝説ではなかろうか。更に気になるのは、鶏冠の兜のデザインである。恐らく南部時代から続くデザインと思われるが、そこに鶴があしらっているのは南部氏の家紋である向鶴を意図してのものだろう。ただ、鶴は鉱山用語で「鉱脈」を意味している。そして、兜の左右に赤い玉と、白い玉が描かれている。それは日月を意味しているもので、かなり興味を引く。何故なら天台宗、及び真言宗での日月とは、明けの明星である金星を意味するからだ。鎌倉時代の「梵天火羅図」には金星とは形如女人。頭戴酉冠。白練衣弾弦」と記されているが、様は女神であり、琵琶を弾く事から弁才天や吉祥天に習合しているようである。平泉は、天台宗や真言宗の影響を受けていた。その台密・東密において、金星とは、下記の様に記されている。

「中尊志神伝。人魂魄也。但頂鶏戴事。僧正本命曜之金曜也。」

中尊が人の魂魄であり、中尊の頭部の鶏冠は僧正の本命曜が金曜星であるとしている。奥州藤原氏の築いた中尊寺の名は、ここからきているのだろう。金鶏山に黄金の雌雄の鶏を埋めたという伝説は、金星に対する信仰に基づくようだ。ただし、あくまでも九曜の中の金星である事から、南部氏の家紋に刻まれている九曜紋の信仰が根底にあるだろう。
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さて一歩引いて、鳥舞が天照大神を天岩戸から出す為の手段であるとしよう。早池峯神楽でも、天岩戸舞はある。この舞で現れ出でた天照大神は、黄金の面を付けている。太陽を色で表す場合、赤色、もしくは白色と、月と重なるときがままある。それが黄金色であっても、違和感は無いだろう。ただ、黄金色の大抵は、仏像で使用される場合が多い。以前書いた記事に、「遠野物語拾遺126(三面大黒 続編)」がある。その記事に書いた様に、黄金色の仏像などは、そのまま黄金を意味していた。早池峯神社には、三面大黒の体内仏に黄金の十一面観音像があったと記している。これは山に内包物である金鉱脈を意味するもので、それを手にする為に始閣藤蔵などが、早池峯山に祈願している。早池峯神社の前夜祭で繰り広げられる夜神楽には、南部氏の意識が含まれていたものと思われる。恐らく、鶏舞は天岩戸から黄金の天照大神を出す為の前座の舞であろうが、その背景には金星信仰と九曜信仰があり、それは南部氏が元々採掘・冶金の氏族であった事を意味するのだろう。

by dostoev | 2018-02-09 18:07 | 「トイウモノ」考 | Comments(0)
<< 野良猫、その後…。 今年は、やはり寒いのだろう。 >>