遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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嫁トイウモノ

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かみさんから「そんな無駄なブログなんて、やめてしまえ。」と言われた。まあ、仕事に直結していない事から、無駄といえば無駄。だからといって、ここまで積み上げたものを簡単にはやめられない。ここでフト、子供の頃に覚えた歌のフレーズが出て来た。「いやじゃありませんか家の山の神…。」ドリフターズの「ほんとにほんとにご苦労さん」という歌の中にある歌詞の一節だ。この時は、ただ歌詞を覚えただけで、「家の山の神」が、どういうものかを理解していなかった。ところがそういう場合、子供同士で情報交換があり、山の神とは母親の事を言うのだと、何となく理解した。それが明確に理解出来たのは、自分の父親と母親の力関係を子供視点で見ていくと『なるほど。』となるのに、そう長くはかからなかった。そういう流れの中「刑事コロンボ」というドラマが始まり、主役のコロンボ刑事の口癖に「家のかみさんがね…。」というがあった。やはり、常に"かみさん"を意識している刑事コロンボは、かみさんに頭が上がらないようであったのは、古今東西同じなのだとも理解できた。ただそれでも、本来の山の神がどういうものかは、まだわかっていなかったが…。
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ところで、山の神は別に略して「かみさん」とも言われるが、別に「妻」とか「嫁」とも言われる。「妻」は「古事記」にも記されているのでわかるが、「嫁」とは「女」と「家」の結び付き。これは、他人の家に入る女という感覚で思っていたが、取り敢えず「日本語源大辞典」で調べてみた。

嫁とは「息子と結婚してその家の一員となった女性」と説明されている。それでは、その語源はというと、下記に一覧を書く事にしてみる。

1.「呼女(よびめ)」家に呼んだから。
2.「弱女(よわめ)」立場が弱いから。
3.「吉女(よめ)」良女(よきめ)の義。良い女、幸運をもたらす女と解釈か。
4.「世継女(よつぎめ)」世継ぎを生む女。
5.「夜女」夜の殿に仕える女の意か。


まあいろいろあるが、どれも確定ではないようだ。ところで別に「嫁が君」という言葉がある。これは何故か、鼠の異称とされている。「遠野物語」で有名になったオシラサマの話は、馬と娘が結び付いた話になっているが、古くは「日本霊異記」に人間の男と子供までもうける「狐女房」という異類婚の話もある。鼠になると、室町時代成立の「鼠の草子」では逆にオシラサマと同じく、人間に化けた鼠と人間の娘が婚姻を果たす話になっている。ただ、正体がばれて娘は逃げ出してしまう事が、オシラサマとは違ってくる。だが、オシラサマの別譚では、馬を嫌っていた娘を強引に連れて行く話もあるので、一概にオシラサマは馬と娘の恋物語では無い。そして仏教思想が蔓延すれば、畜生類と結び付くのは畜生道に堕ちるとも考えられていた筈である。動物との異類婚を認める事は、普通有り得ないだろう。
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ところで鼠で思い出すのは、地下の住人という事である。「古事記」では、大国主を素戔男尊が放った火から地下へと導いて助けたのが鼠であった。そこでもう一度「嫁」を調べると「夜目(よめ)」という言葉がある。これは先の鼠が「嫁が君」とは本来、夜に行動する鼠を意味して「夜目が君」ではないかとしている。ただ鼠は、そんなにも夜目がきくわけでは無いらしい。その「夜目」とは「夜モノ」の転であるようだ。「夜モノ」とは「名前を呼ぶ事を忌はばかる恐ろしいもの」。これは夜行性の獣全般に言えるようだが、ようは夜と云う時間帯は人間では無く、神や魑魅魍魎の時間帯となる。つまり夜モノとは闇のモノと考えても良いだろう。闇が広がるのは、黄泉国もそうである。鼠が「嫁が君」と呼ばれる背景には、もしかして黄泉津大神(よもつおおかみ)がいるからではなかろうか?鼠は、黄泉津大神の使いであると。闇の国である黄泉国を支配するのは、女神だ。「嫁が君」とは暗に黄泉津大神である伊邪那美を指している可能性があるだろうか。

津は「~の」の意であるから黄泉津は「よもの」とも読める。黄泉津は闇世界であるから、そこに君臨する黄泉津大神とは、伊邪那美の変化である。伊邪那美は黄泉津大神となって伊弉諾に対して「一日、千人の人間を殺す」と宣言した恐ろしい女性である。となれば、「家の山の神」も「嫁」もまた、恐ろしい存在として認識されたという事になるか。
by dostoev | 2017-12-28 12:42 | 「トイウモノ」考
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