何故か天ヶ森を中心として、三つの沼御前が祀られている。この天ヶ森の沼御前に糠を入れると、荒屋の御前沼に浮かび、そして次には松崎の御前沼に浮かぶと伝えられている。これは諏訪神社に伝わるものに近似している事からもしかして、遠野に諏訪神社を建立した阿曽沼氏が持ち込んだ伝説だろうか。「遠野市における館・城・屋敷跡調査報告書」に記されている様に、館と沼御前はセットになっているようであるから、天ヶ森館の主は不明であるとされているが、阿曽沼氏の家臣の誰かだろうか?ただ、安倍氏に関係する館跡にも沼御前がある事から、これらの考察は別の機会としよう。
沼御前の場所は水が湧いているが、その上は急こう配になっている。水源はまだまだ上にある事から、伏流水がこの沼御前の地に湧き出ているのだろう。そして天ヶ森自体が、現在よりも豊富な水源を有していた山であったと云う事だろう。
沼御前の在る地は、全体的に湿地帯になっている為、歩いているとズブズブと沈む箇所もいくつかある。