
久々に稲荷穴を訪れて、目に付いたのが
"手打ち蕎麦"の看板だった。思い出すのが平成初期の頃、今から20年以上前の時だった。観光客二人を連れて、美味しいと評判の手打ち蕎麦を食べに、わざわざ稲荷穴まで行って見た。
稲荷穴には、二軒の蕎麦屋があった。入口から手前の蕎麦屋は、商売してますよという風体の蕎麦屋であった。今回食べようと思っている蕎麦屋は、それよりも奥に佇む、爺様と婆様二人でやっている古い民家を利用した蕎麦屋だと聞いていた。どこかな?と迷っていると、子供連れの女性客、その蕎麦屋らしきに入ろうとしている。
女性客「すみません。お蕎麦、食べたいんですけど。」
爺様「食べたかったら、中に入ればいいじゃないか!」
外まで響く大きな怒鳴り声を上げる店主の爺様。女性客は、怯えた様にただ「はい」と言って中に入ろうとした。
女性客「あのぉ、どの部屋に行けばいいんですか?」
爺様「空いている部屋に入ればいいだろうが!」
この民家らしき蕎麦屋には、玄関から廊下沿いにいくつか部屋があった。確かに勝手がわからない人にとって、どの部屋に入ってよいか迷うのだと思う。自分達は、この子供連れの女性客の後を付いて行くだけだったので、非常に助かった(笑)とにかく大声で怒鳴る爺様だったので、気の弱い女性であるなら、怯えるか逃げるかするのではなかったか。
暫くすると、子連れの女性客が注文した蕎麦が出来たようだ。
爺様「出来たから、早く持って行け!」
再び怒鳴り声をあげる爺様。
女性客「は、はい!」
緊張して驚いたような返事をする女性客。
その後に、自分達の注文した蕎麦が出来た。そば粉10割の蕎麦の為か、すぐにちぎれるような蕎麦だった。美味しいと評判を聞いて来ては見たものの、味に関しては、まあこんなもんかという程度で観光客の意見と一致した。ただ値段が安かった。例えばコーラが売っていたが、その当時喫茶店や食堂では150円から200円で売られていたコーラ瓶が80円という、殆ど卸値で販売していた。蕎麦もまたその時代の蕎麦屋の半値くらいで売っていた。まるで明治男のような頑固な怒鳴り声を上げる爺様も、その時代には貴重な存在で、蕎麦の値段も含め、一昔前にタイムスリップしたかのように感じたものだった。恐らくその当時で70歳程度の爺様であった筈だから、もうこの世にはいないのかもしれない。稲荷穴の手打ち蕎麦の看板を目にして思い出すのは、蕎麦の味では無く、あの爺様の怒鳴り声であった。
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