
水天宮の本社を紹介する前に、遠野の土淵を紹介しようと思う。何故に土渕かというと、現在遠野に住んでいる方々は実感できるかどうかわからないが、朝廷の都が藤原京だの平城京、そして平安京と遷都し続けた歴史があるように、遠野もまた遷都されてきた歴史がある。現在の遠野の街は、17世紀末以前までは、誰も住んでいなかった。現在の遠野は城下町であり宿場町であったと知られるのは、鍋倉山に横田城があったからだ。だがそれ以前は、高清水山の麓、光興寺に横田城があったのが、鍋倉山に遷都されたからだった。その間に為政者も、阿曽沼から南部氏に移り変わっている。阿曽沼氏は、奥州藤原氏が源頼朝により滅ぼされた後、その恩賞として遠野郷を授かったからだった。ただし細かな支配領地は、未だ定かでは無いが、光興寺に横田城を築いた事から、遠野の中心地は光興寺を含む松崎町であったのが事実である。そして、更なる以前はというと、それは恐らく土淵を拠点として北に続く松崎、附馬牛のラインであったろう。それは、早池峯への道筋でもあった。
「土渕教育百年の流れ」によれば
「土渕の地名は、大字土渕小字土渕を通称土渕といって、土淵はここから出たという。ここには淵があって、常にその水が濁っており、その渕の底を見る事が出来なかったそうだが、アイヌ語で「河の穴」という意である。」と記されている。これを裏付ける様に
「まつざき歴史がたり」には、猿ヶ石川に関する昔話が紹介されている。その話は、早池峯の麓にある又一の滝から始まる。
猿ヶ石川の始まりは、猿石からだとも云われるが、その猿石は又一の滝がある沢から発生しているのか、もっと西寄りの沢からだという説があるようだが、物語は又一の滝から発生している。その猿石が砕けて八つの石に別れ、その一つ一つが様々な淵に収まる様子が語られている物語である。一つ目の石は、地蔵岩が(次郎岩とも)あるという地蔵沢から始まっている。その地蔵沢は、遠野三山の三女神が最後の晩を過ごしたとも云われる沢だと伝えられる。土淵へ入ったのは五つ目の沢で、こう記されている。
「五つ目の石は、流れて来て広い場所を見付けて、俺はここに入りたいと言ったと。すると恩徳の不動様が何故だと訊いたら、俺はここの広い村にいて、この村を繁栄させたいと言ったので、お不動様がよしよしと言って許した。それまで、お不動様がこの村を見守っていた…。」恐らくこの話は、修験の歩いた道筋を物語として語ったのではなかろうか。聖武天皇時代に、奥州で金が発見され、今まで輸入に頼っていた金を探しに、多くの修験者が奥州へ来たと云う。登山という文化が日本に入ったのは明治になってからだった。それ以前は、山とは遠くから眺め拝むものであった。ほぼ未踏の地であった山を修験者が登るには、砂金探しも含め沢を溯上するのが理にかなっていたようである。

画像は、小烏瀬の滝と呼ばれるものだが、この水源は荒川高原に聳える一ッ石山の麓を源流とする沢の名前を
"不動沢"という。不動という名称には、不動の滝や不動岩などがあるが、大抵は修験者が山を開拓した道筋に名付けられる場合が殆どである。つまり、この小烏瀬の滝から上流へ、修験者が歩き進んだ道であり、この小烏瀬川の滝が始点でもあり終点てせもあるのだろう。だからこそ、不動明王を祀る社が建てられている。

そして、その不動堂の背後に、小さな社が三つ並んでいる。一つは、稲荷社。一つは、薬師大神を祀る社。そしてもう一つが、水天宮である。気付かれる方もいるとは思うが、不動明王と薬師如来が並ぶ姿とは、早池峯山と薬師岳を思い浮かべるだろう。ここでの注意点は、薬師如来ではなく、薬師大神となっている事だ。神仏混合となり、本地垂迹という概念が発達し、神は仏の同体とされたが、実際は仏の下の階級に零落した。しかし、ここでの薬師大神という名前は、まさに神と仏が同体であるかのよう。早池峯の麓、荒川から流れ落ちる不動沢とは、そのまま早池峯山麓の息吹を伝えるかのよう。恐らく、それを意図して、この小烏瀬の滝に祀ったのだろうと思う。そしてこの不動堂に古い時代、女人が住みついたとも伝えられる。それはもしかして、大迫の傀儡坂と同じ様に傀儡女であったのだろうか。傀儡女は水辺に住むと云い、その傀儡女に夢中になった男の話もある事から、身体をも売っていた傀儡女の可能性は高いであろうか。
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