虚空蔵神社の創建は不明。ただ入り口に月山の石塔があり、鳥居脇にも月山を含む出羽三山がある事から、天台宗、もしくは真言宗の影響を受けて創建された神社であろう。
虚空蔵菩薩とは広大な宇宙のような無限の智恵と慈悲を持った菩薩という意であるが、
「天台秘鈔」によれば
「生の始まりを知ろうと欲するなら日月星を知るべし。生の終わりを知ろうと欲するなら日月星を仰ぐべし。」とあるのだが、日月星の三魂が滅して虚空に帰るとされ、その時に虚空蔵菩薩が浮き上がる。その三つの日月星の中の星こそが金星を意味し、全ての本源であるとされ、天台宗の最奥の秘伝ともされている。
つまり、この虚空蔵神社は、星である金星を祀った神社であろうが気になるのは、背後に聳える山が胴具足山という事。ここでは安倍一族の伝説が色濃く、傍には安倍の背負い石がある事から、安倍氏に関連する神社であったのか。安倍氏は別の地域に星ノ宮神社を祀っていた事からも、この神社との関連性をうかがえる。