先年土淵村の村内に葬式があった夜のことである。権蔵という男が村の者と
四、五人連れで念仏に行く途中、急にあっと言って道から小川を飛び越えた。
どうしたのかと皆が尋ねると、俺は今黒いものに突きのめされた。一体あれ
は誰だと言ったが、他の者の眼には何も見えなかったということである。
「遠野物語拾遺163」
たまたまネットで見つけた動画だが、この内容はまさに
「遠野物語拾遺163」そのものであると感じた。当初、この話に登場する
"黒いもの"とは実態の無い影のようなもので、やはり「遠野物語拾遺」に登場するノリコシみたいなものかとも考えたが、実体の無い影にぶつかったり、影が突きのめしたりする筈も無い。この動画が本物かどうかはさて置いて、「遠野物語拾遺163」のイメージをリアルに再現するものだろうと思うので紹介したい。