
昨夜は、久々に大きい落雷があったような気がする。年間通して見ても、遠野とは降水量の少ない地域になっている感がある。同じ東北でも、毎冬に積雪量過去最高を記録する日本海側に比べて、雪の量も少なく、台風もまず通過する事の無い太平洋沿岸に属する遠野は、年間トータルの降水量が岩手県内でも低い方ではなかろうか?去年も殆ど空梅雨で終わっていたが、今年の様な本格的梅雨というのも久々の気がする。
そして落雷だが、昔ほど夕立の様に日中晴れて暑いと積乱雲が発達して、大粒の雨が降り、雷鳴が轟くのも、何となく懐かしい想い出になっていた。それが昨夜は、本当に久しぶりの大粒の雨と、落雷だった。
自分の小さな頃は、暑くなると蚊帳を張る習慣があり、夕立で雷鳴が轟くと「雷様にヘソを取られる!」として、蚊帳の中に逃げ込めば大丈夫という事で、よく蚊帳の中に逃げ込んだ思い出がある。まあこれも一つの雷除けの習俗だろう。
常光徹「妖怪の通り道」には、いくつもの雷除けの習俗を紹介しているが、中には三隅蚊帳が効果があるとして、四か所に紐で吊るす蚊帳の一か所をわざわざ外して三角形にする地域もあるという。これは恐らく、五芒星の様に「尖ったモノ」が魔除けの効果があるというものの転用だろう。ところでこの「妖怪の通り道」に気になる記述があった。
「蚊帳はそれ自体が邪悪なモノの侵入を防ぐ役割を担っている事は、雷除けの伝承を見ても明らかで、猫に象徴される邪霊から死体を守る意図で蚊帳が吊られているのは容易に想像できる。」とある。
ここに猫が登場するが、確かに死体を奪い食らう怪猫の話は、遠野にも伝わる。ただここでは雷に結び付けられて猫が語られている。そこでフト思ったのは、猫の喉鳴りを「ゴロゴロ」と表現するようになったのは、果たしていつからであろうか?「ゴロゴロ」という擬音の大抵は雷様である。別に雷様の事をゴロゴロ様と呼ぶ地域もあるくらいだ。その「ゴロゴロ」が何時の間にか、猫の喉鳴りをも表現するようになったのは、どこか関連があるのではなかろうか?

ところで
「上閉伊今昔物語」には、附馬牛の桑原の話が紹介されている。その話には、バスで桑原まで行き、そこから歩いて東禅寺方面へ歩くと右手に古びた鳥居があり、そこを雷神と呼んでいると。その雷神には焼けた石が三段に積み重ねられており、もしかしてそこの雷神と桑原が関係あるのではないか?と書かれている後に、この地域では雷除けの呪文は
「まじゃらくまじゃらく」であるから、桑原の地名と雷除けの地名とは結びつかないであろうとしている。
では「まじゃらく」とは、どういう意味であろうか?もしも漢字を充てるなら「魔蛇落」か?
「日本書紀(雄略天皇7年7月条)」に、雄略天皇の命により小子部栖軽が雷を捕まえた話があるが、その姿は
「其の雷虺虺(かみひかりひろめ)きて、目精赫赫(まなこかかや)く。」と表現されている。つまり
「眼が真っ赤に爛々と輝く蛇」という事だ。この雄略記に登場する雷は、まさに魔的な蛇が雷として地上に落ちてきたものである。また
「古事記」において、黄泉の国で伊邪那美の死体を囲んでいたのは雷であり、その姿は蛇であったという。そういう意味では「まじゃらく」は「魔蛇落」かとも思えるが、この答えはもう少し調べてからにしよう。

養蚕の守り神が蛇であったのは、蚕を食い潰す鼠を捕食する為であったようだが、いつしかそれが猫に取って代わったのは、蛇よりも猫の方が飼い馴らし易かったのがあったのかもしれない。そもそも蛇の神秘性とは脱皮をする事により、新たな生命を産み出す事とされるのに加え、蛇の輝く目そのものにあった。
「カカ」は蛇の古語で「輝く」などの意味がある。古来、輝くものとされたのは太陽か月であった。ところが画像のマムシの眼を見るとわかるが、瞳孔が細くなっている。つまり輝く太陽はいつも不変な丸い形であるが、形が変化するのは月となる。恐らく雄略天皇7年7月に登場した蛇である雷の「目精赫赫」とは真っ赤な月を意味しているのではなかろうか。そして時代の移り変わりに、同じ
変化する目を受け継いだ猫が、蛇の代わりとなった。それは養蚕の守り神でもあり、雷を伴う物の怪となった猫は、妖怪キャシャを見れば明らかだろう。
htmx.process($el));"
hx-trigger="click"
hx-target="#hx-like-count-post-20034594"
hx-vals='{"url":"https:\/\/dostoev.exblog.jp\/20034594\/","__csrf_value":"a148021f8d122cc91bb9403e92482c47bbd40492f35cd9a3d5691a7e581ab4d455a384b7e8d308a785371a721cae1f81d0fe7035a46398652b447dde81634635"}'
role="button"
class="xbg-like-btn-icon">