然らば則ち石の星たるは何ぞや。曰く、春秋に曰く、星隕ちて石と
為ると「史記(天官書)」に曰く、星は金の散気なり、その本を人と
曰うと、孟康曰く、星は石なりと。金石相生ず。人と星と相応ず、
春秋説題辞に曰く、星の言たる精なり。陽の栄えなり。陽を日と為
す。日分かれて星となる。
故に其の字日生を星と為すなりと。諸説を案ずるに星の石たること
明らけし。また十握剣を以てカグツチを斬るは是れ金の散気なり。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
室町時代に成立した
「日本書紀纂疏」に、星に関してこう記述されている。つまり、全国に広がる巨石信仰は、そのまま星の信仰でもあった筈だ。世界で最初に作られた鉄製の剣は、隕石に含まれる鉄からヒッタイトによって作られたのだという。つまり鉄の文化の根源が、隕石から始まったと考えても良いのだろう。
「石」は「意思」でもあり、「堅い石」は「堅い意思」にも通じる。つまり普遍な象徴として、神話においても長命の象徴であるイワナガヒメというキャラクターを生み出している。とにかく石は、硬く不変な象徴になっている。ジャンケンのグーも、拳を握って丸を作るのは、形もそうだが、堅さをも強調している。
小学校の時、アポロが月へと着陸し、月の石を地球に持ち帰った。そして大阪万博が開催され、そこで月の石が公開された時は、実際にこの目で見たいと思っていたが…無理な話だった。その月の石は評判を呼び、大阪万博の一つの目玉であったようで、かなりの人が殺到したという。それは宇宙空間に漂う星が身近になった時でもあり、そしてヒッタイトが隕石と初めて遭遇した感覚に近いものだったのかもしれない。

写真は、遠野の西の外れに聳える…といっても標高は1000メートルにも満たない種山高原という山。この山には立石と呼ばれる場所があり昔、宮沢賢治が何度も通い
「ここで見る星空が一番美しい」と、宮沢賢治に言わしめた場所でもある。この種山の立石には、一つの石が屹立している。宮沢賢治は、この立石から満天の夜空の星々を眺め、またこの石を見つめたという。つまり宮沢賢治も、この立石の地に屹立している石が、星の屑だと知っていて見つめていたのかもしれない。
空に輝く星は、キラキラ輝いて美しく感じるものだが、その星が地球に落ちてきて、その星屑である巨石を見ると、その輝きは感じないもの。しかし、宮沢賢治の心の中には、この巨石もまた星々の如く、美しく輝いて見えた事だろう。つまり、こうして考えると、コノハナサクヤヒメという天孫族が美しいと娶った花の象徴の女性よりも、醜いとされるイワナガヒメの方が、実は本当の意味において美しいのかもしれない。