遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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荒神様とは?

荒神様とは?_f0075075_5362344.jpg

遠野の観光スポットとして有名な、中沢という地の田んぼの中に、荒神様の御堂がある。荒神様は「アラガミサマ」と呼ぶ。これがもしも「コウジンサマ」と読むのなら竈の神となる。「ものがたり青笹」によると、ある地に大きな杉の木があり荒神様が夢に現れ「ここに住みたい!」と切望し、現在の地に御堂を建てて祀ったという。

以前「荒(アラ)」は山伏用語で「砂鉄」に通じる事を書いたが宝賀寿男「神功皇后と天日矛の伝承」によれば、近江の各地で「荒神」といえば「安羅・阿那」であり、穴師や兵主神に繋がり、それはスサノヲに通じるとある。そのスサノヲは天日矛と同族神と捉え、神功皇后にも繋がると記されている。遠野には近江商人が移り住み開拓したという話も多い事から、近江からの荒神を祀ったとも考えられるが、ここでこれらを詳しく言及しようとは思わない。ただ荒神様の御堂が、何故に東を向いているのかを考えてみたい。
荒神様とは?_f0075075_5295926.jpg

神社や御堂を建てる場合は大抵、南に向けて建てるのだが、立地的に叶わないのなら東に向けて建てると宮大工の棟梁から聞いた。この荒神様は東に向けて建てられているのだが、広い田園地帯である為に立地的な問題は無く、南に向けて建てても良いのである。それを敢えて東に向けて建ててるというのには、何か理由があったのだと思う。

この中沢の荒神様は、ある地に祀られていた権現様の耳の片方を食いちぎった伝承がある。「遠野物語」においても、瀬織津比咩を祀る新山神社の権現様が、八幡の権現様の片耳を食いちぎった話もある事から"荒ぶる"荒神様である事は確かだ。"荒ぶる神"として有名なのはスサノヲがいるのだが、スサノヲと荒神様は「荒」が砂鉄などの鉄に関する共通点がある。スサノヲが鉄に関係するというのは、スサノヲがヤマタノオロチ退治をして、その尻尾から草薙剣を取りだしたのが、製鉄に関する伝承であるという一般的な見解からだ。

ところで何故に荒神様は東を向いているのかだが、これは本来六角牛山へ向けているのでは?と思う。正確にこの御堂の向きは六角牛の山に対して向きが微妙にズレているのだが、南へ向けずわざわざ東に向けた理由が他には思い当たらない。つまり荒神様の御堂は、六角牛と対坐する形を意識して建てられたのだと思う。青笹町周囲の御堂を見渡し、やはり東に向けて建てられている社に、オオナムチを祀る社がある。ここは六角牛の語源にも登場する大八幡の傍であるから、基本的には六角牛の威光が届いている地域でもある。六角牛にはスクナビコナが祀られているので、それに対坐する形でオオナムチが祀られているのだと察するが、中沢の荒神様は、何に対坐しているのだろうか?
荒神様とは?_f0075075_711265.jpg

千葉正吾著「六角牛山物語」では、六角牛山の原初の形が記されている。大同元年(806年)住吉神宮、不動明王の二社を山麓に祀るとあり、神体は坂上田村麻呂より授与されたものだとなっている。六角牛大権現が後に祀られた為、それから山名が「六角牛山」となったのであり、本来は住吉神を祀る山であったようだ。ただし、その当時の山の呼び名は不明である。しかし、かなりの古い時代に一直線に連なる五葉山・六角牛山・早池峯山は、沿岸地域の三山とされており、その信仰の形を解き明かせば、本来の六角牛山の形が見えて来るかもしれない。

ここで気になるのが、当初は「住吉神宮」となっている事だ。ウィキペディアによれば「神宮(じんぐう)は、社号として神宮号を名乗る神社である。天皇や皇室祖先神を祭神とする規模の大きな神社が多い。」とある。たかが村社レベルで"神宮"を名乗れる筈が無い。また住吉を祀っていた社は、不動の滝がある少し下にあったとある。つまり以前あった「大瀧神社」の下に「住吉神」を祀っていた事がわかった。つまりだ、六角牛の原初的な信仰が住吉神と不動明王であり、それらの神は、不動の滝から始まったものと考えても良いのだろう。そして上座に位置したのは不動明王であり、下座には住吉神であったという事実だ。

気になるのが「住吉神宮」という名称だ。とにかく"神宮"を名乗るという事は、有り得ない。ただ住吉神で思い出すのは、神功皇后(じんぐうこうごう)である。現在の六神石神社にも神功皇后は祀られているのだが、原初の住吉神宮というものは、実は住吉神と神功皇后を含めての名称では無かったのだろうか?

対坐する形で思い出すのは、東和町の大瀧神社には、天照大神と瀬織津比咩が対坐する形で祀られている。また遠野の来内地域にあった伝説の天台宗の寺であった積善寺は、滝を本尊とし不動明王が祀られており、その対坐する方向には太平山があり、そこには天照大神が鎮座していた。瀬織津比咩は天照大神の荒魂とされている為、対坐という形には何等かの意図が含まれているのだろう。中沢の荒神様は時代的に六角牛山に住吉神が祀られたかなり後に祀られたのであろうが、そこには何等かの意図があってのものだろうと思う。つまり形として、六角牛に祀られる神に関係する相対する存在としての神であり、権現であったのだろう。それはやはり鉄に関するものであり、鉄の荒ぶる神であるとするならば、やはりスサノヲ以外に考えられないのかもしれない。これに関しては、来年の宿題としよう。

*  画像の権現様は、実際に荒神様の御堂に祀られているものであるがレプリカであり、本物の権現様は別当の家で祀られている。
by dostoev | 2010-12-31 07:01 | 民俗学雑記
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