遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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「遠野物語99(死者の想い)」

「遠野物語99(死者の想い)」_f0075075_629231.jpg

土淵村の助役北川清と云ふ人の家は字火石に在り。代々の山臥にて祖父は
正福院と云ひ、学者にて著作多く、村の為に尽くしたる人なり。清の弟に福二
と云ふ人は海岸の田の浜へ婿へ行きたるが、先年の大津波に遭ひて妻と子と
を失ひ、生き残りたる二人の子と共に元の屋敷の地に小屋を掛けて一年ばか
りありき。

夏の初の月夜に便所に起き出でしが、遠く離れたる所に在りて行く道も浪の
打つ渚なり。霧の布きたる夜なりしが、その霧の中より男女二人の者の近よる
を見れば、女は正しく亡くなりし我妻なり。思はず其跡をつけて、遙々と船越村
の方へ行く崎の洞のある所まで追い行き、名を呼びたるに、振返りてにこと笑ひ
たる。

男はと見れば海波の難に死せり者なり。自分が婿に入りし以前に互いに深く心
を通わせたりと聞きし男なり。今は此人と夫婦になりてあると云ふに、子供は可
愛くは無いのかと云へば、女は少しく顔の色を変えて泣きたり。死したる人と物
言ふとは思われずして、悲しく情けなくなりたれば足元を見て在りし間に、男女
は再び足早にそこを立ち退きて、小浦へ行く道の山陰を廻り見えずなりたり。
追ひかけて見たりしがふと死したる者なりしと心付き、夜明まで道中に立ちて
考え、朝になりて帰りたり。其後久しく煩ひたりと云へり。

                       「遠野物語99」

「遠野物語99(死者の想い)」_f0075075_6295495.jpg

この「遠野物語99」紹介されている物語は、夢か現か幻か…というものだが、一つだけ確実に言えるのは、昔の婚姻とは親同士が決めたという事。政略結婚の類に近いもので、親が付き合いたい家との繋がりを深くする為に、息子や娘を婿、または嫁として出し、繋がりを持ったようだ。これは遠野市内だけとは限らず、他には大槌などの沿岸地区との結び付きがかなりあったと聞くのは、やはり血の問題であったのだろう。遠野内部で婚姻が繰り返されれば、当然の事ながら血が濃くなる。となれば外部に血を求めるしかないからだ。例えば海産物を行商にきた人物と懇意になれば、その後には娘なり婿などの遣り取りが始まる。ある意味、家を守る、村を守る意味も含まれていた為に、婚姻は親同士が決める場合が殆どであったようだ。

遠野の北の外れにある早池峰神社がある大出地区は、早池峰大祭以外は、滅多に人が訪れる事が無かった。男と女というものは、目の見える範囲でしか、色恋のやりとりをしないもの。そうなれば狭い集落の範囲で婚姻が繰り返され、近親婚が重なってしまう。その為に、年に一度の早池峰神社の大祭において、訪れた参詣客に村の娘を提供し、子種を授かり、生まれた子供は村の宝として大事に育てたという。

こういう家の血を守る、村の血を守る為に、人の繋がりの知識がある、親であり、その村の古老などが婚姻を決めた場合も多かったという。そうでなければ若い男女だけでは気持ちの高ぶりだけで、血の濃さなどは無視し、狭い世間の中で結ばれていったのであろう。それこそ国津罪が乱立される。ワーグナーの「ニーベルングの指輪」に於いて、たまたま偶然出会ったジークリンデとジークムントは、お互いに魅かれ合い結ばれる。その魅かれる理由が、同族の血の成せる業であり、知らず知らずに国津罪を犯してしまう。日本だけでなく、世界中で血の穢れを重視する傾向はあったようだ。

ただ「遠野物語99」では、津波で死んだ妻の幽霊の想いが伝わる。親同士の婚姻であった為に、本当に惚れた相手を諦めて従った婚姻であったのだろう。しかし肉体の消滅と共に魂は解放され、恐らく津波によって同時期に死んだ本当に愛した男と結ばれたのだろう。それが正しい結び付きかどうかは別としてだ。

一番上の画像は、船越海岸の磯場にある岩窟であるが、岩窟は黄泉の国と繋がっていると云われる。井戸や厠には幽霊の話が多いのは、地面に穴をあけているからである。つまり黄泉の国と繋がっているから、幽霊の話が多いのであった。当然、洞窟なども同じ地面の穴として捉えられており、それは黄泉の国へと繋がる道でもあった。また別に洞とは何も穴ではなく、山間の場所もまた洞と呼ばれた。遠野市松崎町には狼洞という場所があり、多くの狼が生息していたと云われる。また松崎の熊洞という場所には、巫女の化け物が出ると云われる。山そのものが異界である為に、山間の洞そのものも、黄泉の国に繋がっていると考えられていたのだろう。

三陸津波は多くの命を奪っていった。昔の映画「学校の怪談」にも、三陸津波で死んだ子供の霊が描かれていたのは記憶に新しい。不意の天災は、人の想いをも引き裂くものであるが、この「遠野物語99」の場合は、その想いが逆に転じたのだろうか。

ところが服藤早苗「平安朝の女と男 貴族と庶民の性と愛」を読んでいくと、10世紀の半ば頃に「女は死後、初めて性交をした相手に手を引かれて三途の川を渡る。」という俗信が紹介されていた。つまり、これを「遠野物語99」に当て嵌めると、津波に呑み込まれて死んだ妻は、"霊界の法則"によって、結婚している福二の妻であったが、それよりも強い絆であるのか、初めて身体を預けた男性に手を引かれて行くというものは、まさに不条理であった。突っ込みどころがある俗信ではあるが、平安時代の俗信が現代であり、東北の果てまで伝わって信じられていたという事が、貴重であり重要であると思う。福二が見たものは、この地方まで伝わり、根強く生きて来た強い俗信の幻影であったのか。それとも、その霊界の法則は、実在するリアリティであったのだろうか。
by dostoev | 2010-12-23 07:10 | 「遠野物語考」90話~
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