遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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<   2017年 06月 ( 12 )   > この月の画像一覧

遠野の山々から見る遠野の町の夜景

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これは、寺沢高原から見た夜景。
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これは、薬師岳から見た夜景。
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これは、耳切山から見た夜景。
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これは、物見山(中腹)から見た夜景。
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これは、六角牛山頂から見た夜景。
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これは石上山の中之堂から見た夜景。石上山は、あまり開けた場所が無い。
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これは、高清水山から見た夜景。車で簡単に誰でも気軽に見る事の出来る夜景だ。
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そして最後は、早池峯山頂からの夜景。早池峯は、雲の上になる場合が多く、前方の薬師岳の延長上に、かすかに光る雲の辺りが遠野の町になる。
by dostoev | 2017-06-30 19:43 | 遠野の夜空 | Comments(2)

沼御前トイウモノ(其の一)

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「遠野市おける館・城・屋敷跡調査報告書」の著者は、沼御前は館と結び付いて、全部で七か所あると記している。それは、下記の通りになる。

真立館(松崎町松崎 御前沼 荷渡観音 御前様)

小田沢館(青笹町中妻 荷渡観音 御前沼 御前様)

月山神社(上郷町字南田 御前沼 御前様 千手観音)

佐野館(上郷町佐野 御前沼 御前様 薬師観音)

御前(綾織町新田 御前沼 御前様)

天ヶ森館(附馬牛町安居台天ヶ森下 御前沼跡 御水神宮)

荒矢館(附馬牛町荒屋 御前様)


ただ著者は調査すれば、まだある可能性を示唆していた。そこで調べると二つの館跡と三つの沼御前があった。それが下記の通りとなる。

平倉の沼御前

鳥海館(トンノミ沼御前)

火鼻館(沼袋の沼御前)


平倉の沼御前は「上郷聞書」に紹介されていた。またトンノミが沼御前であるのは、「遠野市おける館・城・屋敷跡調査報告書」でトンノミのある地域でトンノミを沼御前と呼んでいたと記されている。また沼袋の沼御前は、直接行って見て沼御前が祀られているのがわかった。そういう事から、遠野市内でわかっている沼御前と付随する館跡は、上記の分布図として表してみた。ただし火鼻館は、うっかりしていたので記載しなかった。

菊池照雄「山深き遠野の里の物語せよ」でも、「遠野市おける館・城・屋敷跡調査報告書」から引用して紹介し、沼御前とは何かを考えるも、結論には至っていない。ところで同時に、遠野七観音も分布図に載せているが、もしかして関連がある可能性を踏まえてのものだった。それは遠野七観音に付随する七つの井戸伝説と、もしかして沼御前が結び付くのではと考えてのもの。結論には至らないだろうが、のんびりと沼御前を考えて行きたいと思う。
by dostoev | 2017-06-27 18:52 | 「トイウモノ」考 | Comments(3)

遠野不思議 第八百五十八話「猫の森」

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なんというか…遠目で見ると、猫に見えた。顔はアニメの「トトロ」に登場した”ネコバス”の様でもある。これからここを勝手に”猫の森”と呼ぶ事にしよう(^^;
by dostoev | 2017-06-26 18:29 | 遠野不思議(その他) | Comments(0)

遠野不思議 第八百五十七話「火を吹く龍」

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「遠野市おける館・城・屋敷跡調査報告書」によれば、火鼻館の近辺には、火を吹く龍の伝説が付随しているのだと。この火を吹く龍が棲んでいたのは、沼袋という地であると。この沼袋の沼に棲んでいた一匹の龍が、火を吹き、その鼻先から一太刀の剣が出たという伝説が紹介されている。

画像の沼袋の地は、岩から水が染み出て流れる地で、沼御前(龍神)と不動尊を祀っている。そして社の手前には4月になると水芭蕉が咲く地でもある。恐らく昔は、この水芭蕉の咲いている辺りが沼であったのだろう。
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沼御前は阿曽沼に関係する館跡に付随するものとも思えたが、この沼袋近くの火鼻館は、どうやら安倍貞任に関係ありそうだ。「東日流外三郡誌」に「日高見国閉伊郷貞任山ノ事」という文書に、下記の様に記されている。

「天喜元年七月安倍日下王頼良、川井五郎作に主命なして、討物刃鉄を探鉱せしむ。時に土淵七三郎ポロホノリ(貞任山)に採鉱す。製鉄瀬川米通にてタタラを築き、品宣しき刃鉄を製りければ、時の刃工師宝寿、この鉄に太刀を練ふるに、その斬刃馬胴一にて斬断てり。」

米通りは、貞任山に通じる道がある。話の流れ的には貞任山で採掘された鉄を、この火鼻館の地でタタラを築いて吹いたという事か。「遠野市おける館・城・屋敷跡調査報告書」の著者は、これが火鼻館跡と火を吹く龍を結び付けるものとして認識している。
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実は、この火を吹く龍の顛末だが、最終的には退治され、三分割となって石化した事になっている。それぞれ頭は「舌出岩」胴体は「続石」尻尾は「尾岩」が、小烏瀬川沿いに分散しており、尾の岩の地には白龍を祀る神社が建っている。
by dostoev | 2017-06-26 17:17 | 遠野不思議(伝説の地) | Comments(0)

遠野不思議 第八百五十六話「立石」

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石上山に連なる山中に、立石と呼ばれる巨石がある。そしてその近くには館跡らしきがある事から、信仰された石では無かったかとされている。その真意はわからぬが、例えば綾織地区を見ると、続石意外には何故か縄文遺跡が近くにある事から、古代人は巨石信仰をしたのだろうと漠然に思える。ただ問題は、立石という名前だ。立石は他に、綾織にもあり、また遠野の西の外れの種山にも立石という地がある。さらに立石というと地名は、全国に広がる。

鹿島出版会「蹴裂伝説と国づくり」で、阿蘇を開拓した健磐龍命(たけいわたつのみこと)とは「立石」ではないか?と疑問を呈している。「龍(たつ)」という漢字に誤魔化されるが「磐・岩・石」が「たつ」という名が健磐龍命ではないかとしている。これには自分も賛成票を投じたい。龍神の娘を嫁にした事から「立つ」に「龍」の漢字をあてたようにも思えるからだ。では健磐龍命が「立石」としたならば、全国に拡がる立石地名は、開拓の証としての立石という意味になるのだろうか?縄文人の巨石信仰の元、大岩に人が集まり、その地が開拓されるのではあるなら、確かに立石はその証になろう。ただまだ、その裏付けは出来ていない為に、今後の調査によるのだろう。
by dostoev | 2017-06-24 11:14 | 遠野不思議(石) | Comments(5)

立石へ

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林道を進んだ山中に、立石という巨石があるという。そこで林道を車で進んだが、ここで間違いを犯した。右手に車の入れない林道らしきがあるが、道なりに左へとゆるやかに曲る車の入れる広めの林道が正解だろか?と、取り敢えず進んで見た。ところが、見た目よりとんでもない林道だった。

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とにかく林道に車で侵入したはいいが、余り酷いのでUターン。その帰りが、上の動画となる。とにかく車の下が凄い音がするので、降りて見たら、上の画像でわかるように、木が刺さっていた。
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車の後部は、尻尾が生えたみたいになっている。
とにかく、車から気を力づくで折って外し、気を取り直して再び今度は右側の林道へ。少しだけ車を入れて停め、後は歩いて行く事にした。
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右側の林道は、少し進むと画像の様な倒木が無数にある。
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そして、暫く進むと、置き捨てられた車の残骸があった。かっては車も行き来していたのだろう。
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ところがこの林道も途中で道が切れてしまう。目の前には、沢を渡る橋か?それとも単なる倒木なのかわからないが、沢を越えて進んで見る事にした。手掛かりは、沢沿いに聳える立石という巨石だった。
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もう道は無かった。たまに道かなと思うと、獣の足跡と糞ばかりしか残っていない獣道ばかり。しかし歩くのには、この獣道が役に立つ。今更藪こぎはしたくないもの。それでも獣道は、すぐに途絶えてしまい、もうどこを歩いているのかも検討もつかない状況だった。
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そんな中、眼前に聳える巨石が目に入った。途中、それなりの巨石があったが、ここまで巨大では無かった。沢の状況と位置が、聞いた通りの場所に聳えているので、これが立石だろう。自分の身長の五倍以上はある巨石だった。
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画像では分かり辛いが、画像よりもかなり巨大な岩だった。
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沢らしきは、いくつもあったが、巨石がごろごろしていたのは、一つの沢に集中していた。他の沢には、殆ど巨石らしきを見る事が無かった。そして帰ろうとするが、道なき道をめちゃくちゃに歩いて来たのだが、取り敢えず下ればどこかの舗装道路に出るだろうと簡単に考えていた。
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とにかく下りながら、谷を下って登り、下っては登るを繰り返し道なき道を進んでいたら、ばったりと停めていた自分の車に遭遇した。いつもだが、自分の感覚に感心してしまう。しかしここで大変な事に気付いてしまった。携帯電話が無い…。以前、夜の薬師岳に携帯電話を落として再び登って見付けた事があるけれど、あれは登山道がはっきりとわかるから見つける自信があった。しかし今回は無理だろうと、すぐにあきらめてしまった。速攻DOCOMOへと行き、新しい携帯を申し込んだ。しかしデータが全てパーになってしまったのは大きい。まあこれは、無事に帰って来れた代償と考えるしか無いだろう…(ーー;)
by dostoev | 2017-06-23 17:16 | 遠野体験記 | Comments(5)

遠野不思議 第八百五十五話「天ヶ森の沼御前」

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何故か天ヶ森を中心として、三つの沼御前が祀られている。この天ヶ森の沼御前に糠を入れると、荒屋の御前沼に浮かび、そして次には松崎の御前沼に浮かぶと伝えられている。これは諏訪神社に伝わるものに近似している事からもしかして、遠野に諏訪神社を建立した阿曽沼氏が持ち込んだ伝説だろうか。「遠野市における館・城・屋敷跡調査報告書」に記されている様に、館と沼御前はセットになっているようであるから、天ヶ森館の主は不明であるとされているが、阿曽沼氏の家臣の誰かだろうか?ただ、安倍氏に関係する館跡にも沼御前がある事から、これらの考察は別の機会としよう。
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沼御前の場所は水が湧いているが、その上は急こう配になっている。水源はまだまだ上にある事から、伏流水がこの沼御前の地に湧き出ているのだろう。そして天ヶ森自体が、現在よりも豊富な水源を有していた山であったと云う事だろう。
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沼御前の在る地は、全体的に湿地帯になっている為、歩いているとズブズブと沈む箇所もいくつかある。
by dostoev | 2017-06-20 13:10 | 遠野各地の沼の御前 | Comments(0)

遠野イノシシ情報(2017年)

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遠野市小友町の外山近辺で、猛スピードで走るイノシシが目撃された。また同じ小友の鮎貝近辺でも、イノシシが目撃されている例がいくつかあるようだ。ただし、ウリ坊の目撃が無い為、他地域から流れて来たイノシシの可能性もあり、まだ遠野には定着していないのかもしれない。

ところで十二支とは、植物の萌芽から枯れるまでを重ねられたという。その中で、本来の始まりは”亥”とされる。普通は”子”が初めだと思われがちだが、地面内部に種子が萌芽した状態を”亥”とし、地面から芽が出た状態を”子”とする為、亥が本来の始まりである。ところで山神の使いに、猪・蛇・狼(山犬)がいるが、亥が「初め」を意味し、蛇が「最盛」を意味し、狼が「終焉」を意味する。これがアニメ「もののけ姫」にも採用されたのか、導入部では祟り神に犯された猪が登場し、山中ではタタラを踏んで文化の最盛を誇示していた蛇を意味する「エボシ様」という女性が登場し、死の病に犯され、いつ死ぬかわからない狼がまさに終焉を表現していた。最後にシシ神の崩壊と共に、その世界の終焉が訪れたかのよう。つまり”亥”は「終りの始まり」を意図していたかの様。イノシシが遠野に定着すれば、作物の甚大な被害が予想される。

昨日、いつもイチゴを売りに来る上郷町のお婆さんが「最近はハクビシンにイチゴを食われて大変です。」と言っていた。過去にはいなかった木登りもするハクビシンは、かなり厄介者の様。某寺の屋根裏にも巣食い、退治するのに大変だったと云う。そして今度は、明治以降遠野から姿を消したイノシシが復活すれば、農家そのものの生死に関わるのかもしれない。例えば昔、あちこちにあった桃の木や梨の木が無くなったのは「どうせ全部、熊に食べられてしまうから…。」と、木そのものを処分した農家が多い。動物の侵攻に、人間の防御が追いつかないからだ。

またイノシシが増えると、山での山菜・キノコ採りにも影響を及ぼす。熊は正直言えば、人間を見かければ大抵の熊は逃げる。しかしイノシシは逃げないという事から、イノシシが遠野に定着した場合、山での事故も増えそうだ。

ただ逆に考えてみれば、縄文遺跡ばかりで弥生遺跡の無い遠野は、狩猟生活に丁度良かったのかもしれない。後から日本人の主食としての米作りが推奨され、安定した食生活の為の田畑が定着してから、常に動物とのせめぎ合いが始まった。しかし今更、狩猟生活には戻れないのが現実。この動物との攻防の落としどころが難しいのが、現代というところだろう。
by dostoev | 2017-06-19 11:26 | 遠野情報(雑記帳) | Comments(0)

夜の遠野ガイド(6月15日)

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昨夜は久々の、遠野夜ガイドへと行ってきた。人気のコースが去年の台風の影響から行けなくなり、今回は簡易コースみたいな感じで行って見た。まず立ち寄ったのはデンデラ野。デンデラ野の奥へ行くと無数の鹿に遭遇。初めて鹿の群れに遭遇した観光客は、かなりテンションが上がっている様。近くには稲荷社があり、妖狐の墓もあるが、そこには立ち寄らなかった。
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デンデラ野を下って、定番の水車小屋へ。実はここ、日中でも距離があるからと断念する観光客も多い。そういう意味で楽する為、これで明日の日中は立ち寄らなくても良いと。
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そして次は、この前二度にわたって熊に遭遇した荒川高原へと。車で進むごとに霧が深くなり、それじゃあとやはり定番の影絵遊び。
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聞いてみると、普段やはり夜の山道を走る事はないという。ましてやホラー映画のシーンに登場する濃霧と、野生の鹿の群れが何度も現れる状況は、そう体験できる事では無いようだ。今回は殆ど鹿ばかりで、わずかにタヌキが道を横切った程度。熊には、出遭えなかった。
by dostoev | 2017-06-16 06:39 | 御伽屋・幻想ガイド | Comments(0)

矢立松(松が遠野に持ち込まれた時代)

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綾織村字山口の羽黒様では、今あるとがり岩という大岩と、矢立松という松の木とが、おがり(成長)競べをしていたという伝説がある。岩の方は頭が少し欠けているが、これは天狗が石の分際として、樹木と丈競べをするなどはけしからぬことだと言って、下駄で蹴欠いた跡だといっている。一説には石はおがり負けてくやしがって、ごせを焼いて(怒って)自分で二つに裂けたともいうそうな。松の名が矢立松というわけは、昔田村将軍がこの樹に矢を射立てたからだという話だが、先年山師の手にかかって伐り倒された時に、八十本ばかりの鉄矢の根がその幹から出た。今でもその鏃は光明寺に保存せられている。

                  「遠野物語拾遺10」

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「遠野物語拾遺10」が語る様に、今現在も、その地に大岩と松ノ木が並んでいる。岩は古来から変わらなくあるのだろうが、松ノ木は伝説の何代目かにあたる木になるのであろうか。ところで矢立杉の伝説というものが全国に点在している。矢立杉の謂れは「矢を射立てて神に奉る」という事から矢立杉と云われるようだ。つまりこれは、神木とする神事と考えて良いだろう。ただし杉以外の樹木の伝説もある事から「遠野物語拾遺10」の場合は、矢立杉が松ノ木に代わる亜流譚になるか。

ところで松ノ木は、弥生時代に輸入された樹木である。ところが岩手県、もしくは遠野地域には、弥生遺跡は殆ど無い。遠野から沿岸域にかけての遺跡は、縄文遺跡の上に平安遺跡が重なっている場合が多い。これらから、弥生時代に輸入された松ノ木は、いつの時代に東北、もしくはもっと限定的に岩手県及び遠野地域に持ち込まれたのか?と考えた場合、この「遠野物語拾遺10」が、かなり重要な意味合いを持つ伝説では無いかとも思えるのだ。歴史家は、この「遠野物語拾遺10」を、有り得ない取るに足りない伝説と考えているふしがあるが、遠野に松ノ木が持ち込まれた時代を考えた場合、やはり坂上田村麻呂以降であった可能性があるのではないか。
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古い画像だが、これは六神石神社に屹立していた「神座の松」と呼ばれた、巨大な松ノ木である。名前の通り神が降り立つ意味を持つ松ノ木だ。有名な伝説に、天女の羽衣の話があるが、あの伝説でも天女は松ノ木に天の羽衣をかけたという事から、松ノ木は神の斎く樹木であると古くから伝わる。例えば遠野地域でも、歩いていると高く聳えたつ杉の木や松ノ木が密集した杜を見つけると、その下には大抵の場合、社がある。矢立杉も矢立松も、どちらも神の斎く神木であると伝わっている証拠だろう。しかし神社という社を造る文化はいつからかとなれば、やはり坂上田村麻呂以降となる。岩手県の多くの神社の建立年代が揃って大同元年もしくは大同二年になっているのは、"坂上田村麻呂の蝦夷征伐"の後に平定され天台宗が布教に訪れてからとなる。画像の六神石神社の松も恐らく、神社が建立されて植えられたものの何代目かの松になるのではなかろうか。

「遠野物語拾遺10」の話は、坂上田村麻呂が遠野に来なかったにしろ、神域の松ノ木に矢立神事をして、神に奉った事実を伝えるものと考えても良いだろう。その矢立松の隣にひびが入っている「とがり岩」と呼ばれる大岩がある。「遠野物語拾遺10」では、「石の分際として、樹木と丈競べをするなどはけしからぬことだと言って、下駄で蹴欠いた跡だといっている。」とされているが、この大岩の少し下がった場所には、縄文遺跡があった。縄文人は巨石信仰をしていたと伝えられるが、まさに「とがり岩」は、その縄文人、いや蝦夷征伐される以前の遠野に住む民の信仰の証ではなかっただろうか。かたや松ノ木は輸入された樹木であり、それを好んだのは当時の朝廷以前からのものであったろう。それ故に、縄文人の聖地に屹立していた「とがり岩」の隣に松ノ木を植え、後に矢立神事を行い神木とし、元々あった「とがり岩」よりも「矢立松」の方が位が上だとし、作られたのが「遠野物語拾遺10」の伝説ではなかろうか。
by dostoev | 2017-06-12 17:44 | 民俗学雑記 | Comments(0)