遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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<   2012年 07月 ( 28 )   > この月の画像一覧

暑い夏は、水辺に逃げる

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河童のうろ淵には河童の木彫りの像が、暑い最中でも頑張って佇んでいる。それでも町場に比べると、水辺には心地良い風が吹いて、いくぶんか過ごし易い。しかし、それでも夏だ。やはりじっとしていると、汗をかいてしまう…。
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その河童の遊ぶフィールドにある石には、記念にプレートが埋め込まれている。
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河童の詩が刻まれているが…。
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足を延ばして砂防ダムへ行くと、落下する水は風を伴って涼しい。滝は風を生むのか…と感じたシーンだった。
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手前の白滝は、同じ滝でも小規模で、風は起こっていない。。。
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堰堤に足を向けると、そこには水面に夏の雲が映し出されていた。。。
by dostoev | 2012-07-31 15:15 | 遠野情報(雑記帳) | Comments(0)

岩手三山伝説の疑問(其の1)

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岩手三山とは、岩手山・姫神山・早池峰山となり、それぞれ岩手山は男山で、やれ本妻は姫神山で、早池峰山は妾だ。いや、姫神山が妾で、早池峰が本妻である。いや、岩手山と早池峰山は男山で、女山である姫神山を奪い合ったなどという伝説が広がっている。何が正しいのかわからぬが、とにかくこの岩手三山と呼ばれる三つの山が、どうも岩手の歴史に大きくかかわってくるのではと考えてしまう。
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まずはっきりとしているのは、岩手山は男山であるという事と姫神山は女山であるという事。しかし、早池峰山が男山であったり女山であったりし、性別の曖昧な山である為、沢山の伝説が広まったのだろう。

岩手山の古くは岩鷲山と呼ばれ「岩鷲山縁記」によれば、岩鷲山には大武丸という鬼がいたという事になっている。ちなみに大武丸は転訛により、大瀧丸とも同じであろうとされている。また伊能嘉矩によれば、遠野に伝わる"岩武"もまた同じであろという事だ。

御存じの通り、岩手においての鬼とは、当時の朝廷に対し"まつろわぬ者"としての別称でもあった。つまり岩手で一番高い山を根城にした鬼がいたという事は、岩手山が当時を代表する山であったという事。まあ今でも岩手山は、岩手を代表する山には変わりないが、今と昔の違いは、悪意をもって岩手山を意識したという事では無かったのか。
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坂上田村麻呂の時代にあっても、既に山岳信仰は浸透していた。山を御神体、もしくはその地に住む人々の魂が昇る山として存在していた事だろう。つまりだ、岩手の地を代表する山には、その地の人々の魂が昇る…それは朝廷側にとって"まつろわぬ魂"が昇る山としての岩手山であったのだろうと思う。それ故に、坂上田村麻呂をヒーローとして仕立てたうえでの敵役の鬼である大武丸が鎮座するのが岩手山というのは、納得するものではある。
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また岩手山の東方に聳える三角錐の山である姫神山だが、これも「岩鷲山縁記」によれば御姫嶽と呼ばれていたようである。この姫神山に祀られた姫神とは立烏帽姫であるといい、この姫は伊勢に通じる峠の山である鈴鹿山にいた鬼女であり、それを鈴鹿明神とも鈴鹿権現とも云われた。鬼女であったのだが、坂上田村麻呂と結びき観音の霊徳に触れてから鈴鹿権現・鈴鹿明神と呼ばれるようになったようである。
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ところがだ、この立烏帽姫であり鈴鹿権現は、別記事である「鈴鹿権現と瀬織津比咩」に書き記しているように瀬織津比咩でもある。今現在、早池峰山に祀られている女神は瀬織津比咩であるのだが、この「岩鷲山縁記」によれば、姫神山に祀られる女神もまた瀬織津比咩であるという事になる。これは、どういう事であろうか?同じ女神でありながら、片や本妻であり、片や妾となり、または男神となって、岩手山を中心に様々な伝説が語られている。今回は、それについて考えてみようと思う。
by dostoev | 2012-07-30 19:18 | 民俗学雑記 | Comments(2)

熱感知カメラ結果(その2)

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某所に放置していた熱感知カメラデータを、今さっき回収してきた。実は、木にくくりつけた筈のカメラが倒れており、風で倒れたか、何かにぶつかって倒れたのだろう。だから今日は、更にしっかりと倒れない様に、木にくくりつけてきた。画像はリス。
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まさか、猫が写ってるとは…(^^;
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顔の形から一瞬『キツネ?』とは思ったが、どうもタヌキらしいが。。。
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やはりここでもハクビシンが写っている。。。
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実は、この場所に決めたのは以前、熊がここを通って行ったのを記憶していたから、とにかく熊が写れば良いなぁと思っていたので、希望通りにクマが写っていた。
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恐らくカメラが倒れていたのも、このクマがぶつかったからじゃなかろうか?ところで…画像に時刻が載ってはいるが、AMとPMが逆転しているので、その辺を考慮に入れて、画像の動物を確認してくださいませ。
by dostoev | 2012-07-30 09:16 | 遠野で遭遇する生物 | Comments(2)

雨乞いが必要か。。。

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【小烏瀬川】

支流の琴畑川は、それなりに水量があるものの、雨が殆ど降っていない為、里の小烏瀬川は御覧の通り、水量が少なくなっている。山の保水力の問題もあるのだが、決定的に雨が降っていないのが大きい。
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【早瀬川】

早瀬川を見ても、水量が足りない為水圧が減り、川の水の流れが弱まっているのがわかる。平成の初期の頃、カジカが激減した為、7年間の禁漁を経てやっと解禁になった年が、やはり雨がまったく降らず、早瀬川の水が、殆ど流れていなかった。その為、危険さが無くなった為、沢山の家族連れが総出で早瀬川のカジカ捕りをした為に、やっと解禁になったカジカは再び激減となった年があった…。
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通常は石の辺りまで川の水がある筈なのだが、一目で減っているのがわかる。週間予報を見てみても、30度を超す暑さ一週間が続く予定だが、雨の降る予定は皆無のよう。このまま1週間、10日後の川は、果たしてどうなっているのだろうか?
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遠野の歴史から見ると、山で千駄木を焚く雨乞い方法もあるが、極めつけは水神を祀る滝に、不浄なモノ、穢れたモノを投げ込むと、雨が降るという。仕方が無いので、又一の滝へ行って、行水でもしてこようか…(^^;
by dostoev | 2012-07-29 19:48 | 遠野情報(雑記帳) | Comments(0)

熱感知カメラ結果(その1)

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某所に熱感知カメラを仕掛けて3日間…まったく写って無かった為、もっとのんびり待ってみようと、更に3日間放置して、今朝データを回収してみた。画像を見るとハクビシンとキツネが写っていたのを確認した。タヌキやアナグマの方が写る方が多いのではと予想していたが、ハクビシンが写っていたのは、それだけ遠野にハクビシンが定着した証でもあるのだろう。そういえば某寺にハクビシンが入り込んだという話も聞いた事がある。とにかく今から20年前にはいなかったハクビシンが、今では遠野に普通に生息する野生動物になってしまったのだろう。
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画像が暗いのは、カメラの距離が遠い為ストロボの光が十分行き届かないなのだろう。今度はもう少し、近くに設置してみようと思う。
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写っている動物の種類も数も少なかったのは、場所の問題もあった。今回は獣道では無く、水が涸れた沢に設置したので、今度は普通に獣道に設置してみようと思う。
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by dostoev | 2012-07-26 09:02 | 遠野で遭遇する生物 | Comments(0)

アジサイの住人達

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小雨交じりの雨の中、上郷町へ足を向けてみた。毎年紫陽花が咲き乱れる伊勢両宮の紫陽花を見る為だった。
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晴れの日はコントラストがきつ過ぎて、紫陽花の撮影には向いてないかもしれない。だからこういう雨交じりの方が紫陽花には向いているかもだ。
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蜘蛛の巣にも水滴が散りばめられている。
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背景に紫陽花を入れると、青い蜘蛛の巣になる。
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水滴の付いた紫陽花は、宝石のようにも見える。
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紫陽花に、ハナムグリが隠れていた。
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また雨が降った為か、アマガエルが沢山、紫陽花の隙間を移動していた。ただカエルだけではなく、いろいろな虫も多くいる。そこでフト、紫陽花に棲む住人の顔ぶれを撮影してみようかと思った。
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全てを撮影する事は不可能だが、とにかく目に入った生物を片っ端から写す事にした。
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by dostoev | 2012-07-25 16:29 | 遠野情報(雑記帳) | Comments(2)

妖怪イベント

http://obakedai.jp/blog/news/000242.html

昨夜、妖怪好きの知り合いから9月22日の予約が入った。何でも遠野で妖怪のイベントがあるらしいが…まったく知らなかった!詳細は、よくわからないけれど、ネットで検索したら上記がヒットした。どうも荒俣宏京極夏彦が再び来るらしい。。。

ついでにその日の夜、御伽屋イベントとして夜の白見山周辺遊覧ツアーでもするか。。。


・ふるさと物産展: 9月22日 10:00~
  鳥取・徳島・岩手3県の特産品が大集合!
・交流会(有料) 9月22日 フォーラム終了後
 イベント登壇者・観客・地元の方々による、
 岩手、鳥取、徳島の3県の特産品やお酒を楽しみながらの交流会。
「全日本妖怪推進委員会」の物販ブースには、
 京極夏彦さん、宮部みゆきさん、村上健司さんも参加予定。
・夜の寺町怪談 9月22日 夜~
  妖怪探訪家・村上健司さんらによるトークイベント
・水木しげるラッピングバスで遠野巡りツアー: 9月22日・23日
・岩手沿岸被災地見学: 9月23日




<実施概要>

【タイトル】 フォーラム ふるさとの伝承が教えてくれること
【日時】 2012年9月22日(土・祝) 12時開場 13時開演(17時15分終演予定)
【場所】 岩手県遠野市 遠野市民センター
     (〒028-0524 岩手県遠野市新町1番10号)
【内容(予定)】
■第一部 怪遺産認定地知事鼎談  (13:00~14:15)
       開会挨拶:本田遠野市長   
       鼎談:岩手県、鳥取県、徳島県の三県知事
       モデレーター:荒俣宏
■第二部 ふるさとの民俗芸能競演  (14:30~15:30)
       岩手県:遠野 細越獅子踊り
       鳥取県:因幡の傘踊り
       徳島県:阿波おどり
■第三部 物語の力 (15:45~17:15)
       物語朗読&トークライブ  宮部みゆき・京極夏彦
【入場料】 無料
【主催】 岩手県、鳥取県(予定)、徳島県(予定)
【共催】 遠野市
【企画協力】 角川学芸出版・角川書店
【運営】 株式会社めんこいエンタープライズ
【後援】 岩手めんこいテレビ、岩手日報社、他

※化け大生の座席はブロック内自由席です

by dostoev | 2012-07-24 05:05 | 民宿御伽屋情報 | Comments(2)

早池峰神社例大祭の一コマ

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連休明けの平日…7月17日、18日に早池峰神社例大祭が執り行われた。やはりなのか、訪れる人は少ないのが一目でわかる。しかし神事とは、そういうものだ。ただし、この例大祭がもっと宣伝されれば、もっと人は訪れると思う。

例大祭の始まる前、とにかく神社に訪れたなら真っ先に参拝する人の姿が目につく。
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古神輿は、その時が来るまでじっと佇んでいる。
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神事の執り行われる前に、シシ踊りが始まる。その後、本殿内部で神事が始まってもシシ踊りは行われているので、本殿内部から聞こえる筈の祝詞などはまったく聞こえなかった…(^^;
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シシ踊りは複数の団体が参加しているので、ある団体が踊っている最中は待機している。
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本殿内部の神事が終了し、やっと神輿が動き出した。しかし…担ぎ手の身長のバランスが取れてないんじゃないか?前の担ぎ手が辛そうに見えるのだが。。。
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山門を潜って祓川へ行く前に、駒形神社へと神輿は向かい、それから祓川へと向かう。動画は宮司を中心とした神官の人達。
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昔は神輿ごと川に入ったようだが、今では蓬を水に濡らして神輿にこするだけのよう。蓬そのものは魔除けの意味もあるので、これも一つの穢祓だろう。この後に戻って餅撒きもあったようだが、仕事を途中で抜け出した自分は急いで店に帰ったのだった。今度は、もっとのんびりゆったり参加したいものだ。。。
by dostoev | 2012-07-23 19:06 | 遠野情報(雑記帳) | Comments(0)

早池峰大神とオシラサマ

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早池峰例大祭の中でのメインはやはり、神輿を川原に運び、川の水によって穢れを祓うという神事だろうと思う。神輿を担のは1年に1度。そうつまり、1年間に溜まった穢れや負のエネルギーを祓い、もしくは発散するのを目的と考えて良いだろう。"溜まる穢れ"で思い出すのがオシラサマだ。
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オシラサマに対する行為の中に"オセンダク"というものがある。それはオシラサマに対して神饌を供え、新しい衣を重ね着させる行為だ。服が汚れれば、着替えるのが人間世界の日常となるが、ここでのオシラサマは着替えるのでは無く、古い着物の上に新しい着物を重ねる事であり、これは着替えとは意味が違うのが理解できる。

また、オシラサマに向かって神寄せの経文を唱え、オシラサマを手に持ちシラアの祭文を唱えながら踊らせる行為を"オシラ遊ばせ"とも云う。これはお祭りでの神霊が乗った神輿を担いで「ワッショイ!ワッショイ!」と揺らす行為と同じであろう。これによって1年間に溜まった負のエネルギーを発散する事が出来る。神という存在は人間の様なもので、人間が家の中でじっとしていると不満が鬱積すると同じように、神も不満が鬱積するので、ガス抜きをしなくてはならないのが、神輿を担ぎ揺らす行為であり、オシラ遊ばせであると考える。
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画像は早池峰神社に伝わる古神輿であるが、いつからはこの古神輿が常に神事に使用されているようだ。神事の古い事例は「恐ろしい女神で紹介したが、いつしか神輿を壊すまでの激しい争いは無くなり、本来の神事に徹底したのだろう。その本来の神事とはつまり、オシラサマと同じく、穢れを重ね祓うのであると思う。同じ神輿に穢れを溜め年に一度だけ祓う行為は、オシラサマの"オセンダク"と"オシラ遊ばせ"を合わせたものだろう。早池峰神社の神事と、オシラサマ神事の違いは神社の神事が民間に落ちるのに加えて、樹木信仰との結び付きも考えられると思う。

菅江真澄「月の出羽路」に、下記のような文章が記されている…。

【白神】

世にオシラ神又はオシラサマと申す。養蚕の神なり。谷を隔てゝ生ひ立て
る桑の木の枝を採り、東の枝を雄神、西の方を雌神とし、八寸あまりの木
の末に人の頭を作り、陰陽二柱の御神になぞらふ。絹綿を以て包み秘め
隠し、巫女それを左右の手に執りて、祭文祝詞、祓を唱へ、祈り加持して
祭る。此オシラ神をオコナヒ(行神)と謂ふ処あり。



遠野ではオシラサマとは別にオクナイサマという名称もあるが、これは上記の文章から「オコナヒ(行神)」という記述がある事からオコナヒがオクナイに転訛したものだと、当然思う。なので同じものでありながら、オシラサマとオクナイサマという別の呼称が存在するのも納得するのだ。

また陰陽二神という考えは、万物の創世を現し、当然それが養蚕の神になるのも、なんら不思議は無い。桑の木の東が雄であるというのも、東は太陽が昇り誕生を現し、西は太陽が沈み死を現すが、これは母体回帰の思想でもあるので、再び復活し生誕する意味にもなるので当然といえば当然だろう。ただ今現在の早池峰神社の祭神は瀬織津比咩という姫神一柱となっている。しかしだ「早池峰山妙泉寺文書」俗に云う「宮本文書」の世代年表には、こう記されている。

「延長年中(923~931)、本宮后宮修理、並びに新山宮を修復す。」

ここでの「后宮」とは妃であれば、当然「本宮」とは男神が祀られていたと理解できる。つまり本来の早池峰には、男神と女神の二柱が祀られていた事になる。いつしか消え去った男神について、ここでは言及しないが、ハヤチネもオシラサマも男女二柱の神を祀るうえにおいては同じであるのだ。
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そして、オシラサマ像の一つである馬の像であるが、これは神が乗る神馬であると考えて良いだろう。
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早池峰神社例大祭での神輿は、本殿前を出発して真っ直ぐ祓川へは向かわずに、山門手前の小高い丘に鎮座している駒形神社へと向かう。つまり神輿に乗った早池峰大神の神霊に馬を加えるのは、オシラサマに普及する男神像と女神像と馬像に対応するものだ。オシラ像には、それ以外のものも含まれるが、恐らくこれが原型だろう。早池峰周辺の神社や路傍の石碑を見て回っても、早池峰の石碑に並んで駒形神の石碑があるのも、本来セットであると考えて良いだろう。早池峰大神の縁日が9月28日であり、それに並んで9月29日が御蒼前様の縁日になっているのは、それを裏付ける一つの事例であると考える。
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また白太夫が、このオシラ神を伝えたという伝承もあるのだが、白太夫は傀儡使いでもあったので「オシラ遊ばせ」などと云われる傀儡のようにオシラ神を遊ばせるというのも納得する。また白太夫の神は、元々天満宮であるから、当然祟り神としての菅原道真が登場する。桑の木は雷除けとしても有名で「くわばら、くわばら…。」誰でも知っている雷除けの呪文である。遠野の俗信にも、桑の枝を軒先に立てておくと、雷が避けるというのは広く伝わっているのも、遠野の土壌に樹木信仰が深く根付いていたせいではないだろうか。

以前、何度も書いてきたが樹木の名称である目(芽)歯(葉)鼻(花)指(細枝)耳(実)腕(枝)頭(梢)胴(幹)足(根)は、必ず人間の体と対比させて付けられたという。樹木と同じ意味を持つ”木”という言葉もまた、人間の”気”と同じものとして付けられた名称だ。
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日本人に広く愛される桜の木の代表はソメイヨシノだが、昔はこのソメイヨシノの樹齢は50年であると云われてきた。つまり桜の木の樹齢は人間の当時の寿命と云われた50年に対応する。その為に昔は、子供が生まれると庭先に桜の苗木を植え子供の成長と対比させて見守って来たようである。そこには桜の木が人間の依代であるという概念があったからだ。子供が病気になったり怪我をすると、それが早く治る様にと、桜の木にそれを吸いこませようとしたという。そういう呪術が広まった為か、桜の木の下には死体が埋まっているという俗信も登場した。ところで早池峰大神である瀬織津比咩は天智天皇の時代に近江国の琵琶湖畔に鎮座する佐久那太理神社に祓戸の神として祀られたのは、元々桜谷明神として瀬織津比咩が鎮座していたからであった。そう早池峰大神である瀬織津比咩は桜の女神とも信じられてきたのも、日本人が広く信じてきたの樹木信仰が根底にあったからではなかろうか。更に付け加えれば、桜谷の変換形である佐久奈谷はたぎり落ちる水の瀬であり、滝そのものを意味する。桜が人の病気や怪我を吸い込むと信じられたように今でも全国の神社で唱えられる「大祓祝詞」にも瀬織津比咩は登場し、ありとあらゆる罪や穢れを根の国・底の国まで運び飲み込ませる。これはつまりオシラサマの溜まった穢れを祓うと同じものである。

オシラサマに使用される桑の木も、その内部に秘する呪力に頼り、桑の木で作った像に人の穢れを移して祓うというのも本来は、水神であり穢祓の神として認識されてきた早池峰大神に対応させた為では無かったかと考えるのだ。オシラ像の男神像・女神像・馬像が遠野に広まったのもひとえに、早池峰信仰の広がりが根付いていた為であったのたと思うのだ。そしてこの簡単に要約したこの記事を、Agnès Giard氏に捧げたいと思います。
by dostoev | 2012-07-22 21:14 | 瀬織津比咩雑記 | Comments(0)

権現舞

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今まで神楽殿に飾られ、様々な演目を観ていた筈の権現様が、最後に持ち出されて登場する。ここでの権現とは、早池峰権現を意味する。「ここは何処?」という歌が、妙に心に響いてくる。
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「ここは何処…。」に対する合の手が「黄金花咲く…。」という繰り返しは、始閣藤蔵が早池峰に対し、もしも金が採れたらお宮を建てるという誓いの元、見事に金を発見し早池峰山頂にお宮を建てた逸話が思い出される。早池峰権現の「ここは何処?」とは、どこからか連れてこられたのだろうか?
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神楽では初め人とに抱えられ踊っていた権現が、人と一体となって独立して踊るようになる。そしてその背丈は、更なる高みに登った様は、まるで早池峰の山頂に鎮座したかのよう。その権現を神として崇めるかのような神官を、上から見下ろす権現はまさに、早池峰の頂から見下ろしているようにも感じる。
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権現に噛まれると、病気や怪我をしなくなると云われるが、ここでの権現の歯噛みする乾いた音は静かに響き渡り、まるで荒ぶる神の空しさを表しているかのよう。その後に、高みにいた筈の権現は神官の目の位置にまで低くなって対座するのは、一つの誓約(うけい)のように見えた。どこからか連れて来られた権現が早池峰山に鎮座し、早池峰権現として早池峰の麓に住む人々にとっての神として鎮座する為の誓約(うけい)ではなかったのか。
by dostoev | 2012-07-21 18:11 | 民俗学雑記 | Comments(0)