遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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カテゴリ:「現代遠野物語」110話~( 5 )

「現代遠野物語」 第百十四話(遠野の忠犬ハチ公)

昔、女子師範学校を出た女性が教師となり、遠野の町から青笹小学校へと通勤していたそうな。その女性になついでいた飼犬も、毎日行き帰りを一緒について行ったそうな。その頃の遠野は、まだ舗装道路では無かった為、女性は換え足袋を持って通勤していたが、気付かぬうちの足袋を落しても犬が探して拾ってくれる程の犬であったと。

そのうち女性は花巻に転勤する事になり、下宿生活になる為、犬を両親に預けて引っ越したのだと。ところが急に飼い主がいなくなった犬は、それでも飼い主に逢えるのかと毎日青笹小学校へ通い、夕方に帰った来る日々を過ごしていたと云う。ある日の事、やはり青笹小学校へ行った日の夕方、首が曲り足を引きずりながら犬が帰って来た。恐らく誰かに、殴られるか蹴られでもしたのだろうと。その日から犬は、食べ物を全く口にしなくなり、そのままとうとう死んでしまったそうである。当時、電話も無い時代、その状況を飼い主であった女性に知らせる事も、なかなか出来なかったよう。あとで帰省し、その事を知った女性は「何と可愛そうな事をした。一緒に連れていけば良かった。」と、今でもその犬の事を思うと、涙がこぼれるという。
by dostoev | 2017-12-21 11:48 | 「現代遠野物語」110話~ | Comments(0)

「現代遠野物語」 第百十三話(闇に消えた女性)

山田さんは、釜石から遠野行きの列車に乗っている最中、小佐野を過ぎた頃からうとうとと眠ってしまったそうである。ふと眠りから覚めたのは、仙人峠を過ぎたあたりであったと。すると誰も居なかった筈の座席の前に、24、5歳くらいの美しい女性が座っていたそうだ。その車両は殆どガラガラの状態で、何故自分の前に、女性がわざわざ座ったのか理解できないでいたという。話しかけると、自分と同じ遠野まで行くのだと。遠野に到着し、改札口まで自分の後をついて来るので、ついつい夕食を誘ったらOKされたのだと。楽しい食事を共にして、その店の前で別れたそうだ。その美しい女性が歩く後姿を見送っていると、いつの間にか闇に溶け込むように消えてしまったそうだ。山田さんは遠野に赴任して1年は過ごしたそうだが結局、一度もその女性に逢える事は無かったそうである。今では、不思議な体験として心に残っているようである。
by dostoev | 2017-12-21 09:21 | 「現代遠野物語」110話~ | Comments(0)

「現代遠野物語」 第百十二話(白装束の女)

大橋鉱山がまだ盛んであった頃、宮守の男が大橋鉱山で働いていた。ある日、急用が出来たので、宮守の実家に帰らねばなくなったと云う。仕事を終え、社宅に戻って準備を調え、大橋を出たのが夜の10時過ぎ。歩いて仙人峠を越えて、軽便鉄道駅を目指して歩き始めたのだと。夜中の12時を回った頃、峠の上の方にガサガサッと、落葉を踏みながら下って来る足音が聞こえたそうな。見ると、白装束の人影がそこにあったと。男は草むらに身を隠して、その人影を見たのだと。白装束の人影は女であり、髪を振り乱して、額には手鏡を付け、口にはツゲ櫛を咥えていたそうだ。初めは恐ろしくて動けなかったが、その後慌てて道では無い藪を下り、気付いたら身体が傷だらけになったまま足ヶ瀬駅に辿り着いていたという事である。
by dostoev | 2017-12-20 16:00 | 「現代遠野物語」110話~ | Comments(0)

「現代遠野物語」 第百十一話(黒い蝶)

これもやはり、山口部落での蝶の話になる。新田某さんの祖母は、長く入院しており、亡くなる数日前の寒い冬の日に、病院の看護婦さんから「お宅の部落から黒い蝶が飛んで出たのを見たから近いわよ。」と言われたそうな。黒い蝶は、人の魂の具現化したものとも云われるが、ここでは人の死の予兆として信じられていた様である。
by dostoev | 2017-12-20 05:05 | 「現代遠野物語」110話~ | Comments(0)

「現代遠野物語」 第百十話(予兆としての蝶)

昭和の始め、まだ土葬であった頃の話である。小雪がちらつく冬に、山口部落の老婆が亡くなった。部落中の人達が葬儀の準備を手伝う中、ある女性があるお婆さんと墓地傍にある祭壇を飾る小屋掃除を担当していた。すると、黒い小さな蝶が飛び出したので、一緒にいたお婆さんに教えたところ「ホレホレ、今、死んだ婆さんが成仏するところだ。そっと奥に送ってやれ。」と言われたそうな。しかし、その次には白い蝶が飛び出してきたそうな。それもまたお婆さんに教えると、お婆さんは驚いて「これは大変だ。何事も起きなければいいが…。」

昔から、白い蝶を珍しい場所や、珍しい時期に見ると不幸が起きると云われていたそうである。その蝶の出来事のあった五日後に、同じ部落の青年が自殺したという。まさにその時の蝶は、不幸の予兆であったようだ。
by dostoev | 2017-12-19 20:13 | 「現代遠野物語」110話~ | Comments(0)