遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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カテゴリ:母子信仰と速佐須良比賣( 1 )

母子信仰と速佐須良比賣(その1)

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奥州の菊池家が滅亡する時、幼い当主を乳母が背負って生き延び、数代後に奥羽に出現するという類型的な系図の様式があるが、これは一つの古代伝承であり、母子伝承でもある。この伝承を伝えた者は、九州の菊池一族をよく知る者の手によって伝えられたという。母子神信仰は聖母マリアに通じる概念でもあり、日本国内で最も神格化されて広まったのは、八幡信仰となる。

ところで菊池氏だが、南北朝時代の九州菊池氏は南朝側に付き戦っていたのだが、その頃の熊野修験もまた南朝側に付き、熊野の別当である米良氏を窓口として、九州菊池氏との特別な関わりがあったようだ。この九州菊池氏が足利勢と戦い敗れ、九州から東北へと逃げ延びたという由来が実は、歩き巫女であり、傀儡女であり、熊野比丘尼によって伝えられたという。

九州は宮崎県の児湯郡に銀鏡神社というのがあり、この辺一帯は米良菊池氏の本拠というべきところでもある。実は、この地域の伝承が遠野に伝わっているようであるが、これは後に別記事として書き記そうと考えている。

話を母子神信仰に戻すが、この母子神信仰は熊野比丘尼らによって伝えられたのだが、それと共に三山伝説であり、女神発祥の伝説もまた伝え歩いたようだ。


罪と云ふ罪は在らじと 科戸の風の天の八重雲を吹き放つ

事の如く 朝の御霧夕の御霧を朝風夕風の吹き払う事の如

く 大津邊に居る大船を舳解放ち艫解放ちて大海原に押し

放つ事の如く 彼方の繁木が本を焼鎌の利鎌以ちて打掃ふ

事の如く遺る罪は在らじと祓へ給ひ淸め給ふ事を 高山の末

短山の末より 佐久那太理に落ち多岐つ 速川の瀬に坐す

瀬織津比賣と云ふ神 大海原に持ち出なむ 此く持ち出で往

なば 荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百曾に座す速開都

比賣と云ふ神 持可可呑みてむ此く可可呑てば 氣吹戸に坐

す氣吹戸主と云ふ神 根の國底の國に氣吹放ちてむ 此く氣

吹放ちてば 根の國 底の國に坐す速佐須良比賣と云ふ神 

持ち佐須良ひ失ひてむ 此く佐須良ひ失ひてば 罪と云ふ罪

は在らじと 祓へ給ひ淸め給ふ事を 天津神 國津神 八百

萬神等共に 聞こし食せと白す   「大祓祝詞(抜粋)」



「大祓祝詞」というものがある。この後半部は、水の流れ、潮の流れにに、罪や穢れを委ねて流し、その要所要所に祓いの神々を配して、消滅するまでを描くものだ。

ここで、日本国の国土というものを考えてみたい。島国日本は、周囲を全て海に囲まれている。他の国々とは接しない、独立した孤島と言ってもよい。言葉を変えて言えば、日本国とは海に抱かれた国であるという事だ。

その島国日本には山々が屹立し、水を生み出し、川となって流れて、大海原へと行き着く。そう、全てのものは海へと帰結するという概念が、この日本国を見た時に感じた筈である。「古事記」「日本書紀」を読むと、何故か大和朝廷が海人族を征服し融合して、その呪術を受け継いでいる話が多いのは、海に抱かれた日本という国土を手に入れる為に必要であった為なのだろうと考える。
by dostoev | 2010-11-15 14:04 | 母子信仰と速佐須良比賣 | Comments(0)