熊野神社の境内に樹齢1500年、樹高30m、幹周り約7mの
俗称田屋の大杉が屹立している。昔にこの大杉を切りつけたと
ころ、血を流したという伝説があり、更に西南の幹のこぶに、
金の地蔵があるという伝説が伝わっている。福泉寺の観音様を
彫る為の木として着目されたが、周囲の反対からそれはご破算
となり、代わりに石上神社境内にあった樹齢1200年の松の木
が福泉寺の観音になったという。
綾織地方には修験道の影響が多大にあるために出羽三山系と
いうか熊野神社系の祠も、数多く見受けられる。当然、熊野神社
では神木として扱われている杉が植えられて、長きに渡り存在し
ているというのも当然といえば当然か。
この田屋の大杉は昔、枝を伐ったところ、木の切り口から血が滲
み出し、その枝を伐った人もそれから病み帰らぬ人となってし
まったと伝えられている。それからか
「この木は有難い木で、侵
せば恐ろしい祟りを受ける。絶対に刃物をあてることはならぬ。」
この言葉は田屋を守る家人だけではなく、部落の人々もそれに
従ったと云う。