遠野の一日市町にひっそりとある宇迦神社。運満虚空蔵を祀る古社と伝えられ、勧請年月は不明だという。御神体は直径約四寸の銅鏡であり、藤原光長の銘があるという。楢の古木が御神木としてあったそうだが、明治24年に焼失し、今では根元だけを残しているという。
以前は、社の前に清い泉があって、鰻が沢山生息していたという。実際、この裏手には来内川が流れ、昔の石垣で組んだ堀でもあった為、その隙間に沢山の鰻がいたという。今では鰻も減ったというが柳玄寺の近辺では、まだまだ鰻がいるというが、どうだろう?
ただ、宇迦神社の鰻は、神の使いであり、片目であるという。捕って食べたら神罰がくだるそうだが。。。その為、宇迦神社の氏子は鰻を食べないという…。
ところで表向きは宇迦神社といっているが、一般的には「ウンナンサマ」と呼んでいる。ウンナンサマは基本的には水神であり、ウンナンサマと呼ばれる地域は遠野に数箇所ある。ただ、大抵の水神は蛇であったり龍であったりするのに宇迦神社の鰻の場合は、蛇と鰻の共通点は鱗族であるので、その同じ鱗族の鰻が宇迦神社に沢山生息していた為だと思う。大岩魚が人間に化けてとか、大鰻が坊さんに化けてという昔話があるが、鱗族は蛇と共通のものを持っている為に人間に化ける話があり、また祟りをもなす。