久々に関西からのお客さんを連れて、遠野の夜ガイドをした。まず手始めに、耳切山から荒川高原へと抜けてみたが、雲が多く星もよくみえない。また霧も発生していないので、行きたかったという早池峯神社へと向かった。ただ野生動物は豊富に出て来て、ニホンジカ・カモシカ・タヌキ・キツネ・ハクビシン・ウサギ・ムササビ、おまけに野ネズミや猫と、行く先々に登場して楽しませて貰った。
それから夜の早池峯神社に到着し、まっすぐ参拝した。時刻は、夜の10時頃だろうか。この日は、やけに暗く、初めはライト無しで境内に入ったが、余りにも暗すぎる為、車に戻ってライトを持って来た程だった。神社の境内から空を見上げると、星が綺麗に輝いていた。荒川高原は雲が多かったが、早池峯神社上空には、星空が広がっていた。
参拝後、境内を歩いて山門に近付いた時だった。
「女性の声、聞こえませんか?」と客が言う。水音じゃないですか?と言って、自分もよくよく聞いてみると妙な音が聞こえる。自分は水音を一瞬、雨か何かと思ったが、そういえば上空は晴れていた。ただ自分にはその時、女性らしき声は、まったく聞こえいなかった。
取り敢えず、その時の動画を僅かな時間だけ撮影してみた。そしてその後、よくよく耳を澄ますと、確かに夜で誰もいない神社の境内であったが、やけいにいろいろな音がする。ただそれは自然の音なのかとも思っていた。そして帰りましょうかと、山門を出て鳥居を潜ってから、何と表現して良いのかわからない音が、自分にき聞こえた。ただし、女性の声では無かったが…。
女の声で思い出したのは以前、このブログでも紹介している
金子富之氏だ。やはり、夜の遠野をガイドしている最中に、聞こえる筈のない場所で女の笑い声を聞いて、蒼ざめていたのが印象に残っている。また
「熊野年代記」には、新宮などの神域で女の泣き声や笑い声が響いている記述がある。その後に祈祷などをしている事から、熊野で聞こえた女の声は、神霊のものとされたのだろう。そして今回の早池峯神社境内での女の声…自分は聞こえなかったが、女の声と聞いた瞬間に、金子氏の時の事象と、「熊野年代記」での事象が頭を駆け巡ったのだった…。