遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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光る化け雉

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「遠野今昔」に、阿部愛助氏の書いた「光る雉」の話がある。その話を簡単にまとめてみた。

綾織の阿部さんは、鉄砲撃ちであった。ある月明かりの淡い山の峰の下で獲物を待っている時の事であったそうな。冬山の冷たく澄んだ空気の中、峯のあたりから雉が下方向かいの峯へと番で移動している時の事であったという。この雉の峯下りの時、雉の体が光ったのだという。冬山の澄んで乾いた空気の為だうか、雉の体に静電気が起こった為の発光なのかもしれないと。

雉が光るとは有り得ない話ではあるが、いろいろな状況が重なると、そう見えるのかもしれないとも、どこかで思っていた。ところが「村誌たまやま」に、光る雉の話があった。

炭焼きを営んでいる男が夜遅く帰って来ると、山の方から大きな声で「行くじぇー、行くじぇー」と叫ぶものがある。そしてそれが毎晩続いた。炭焼きの男は気味が悪くてしょうがない。しかし気を取り直し「人間でないものが何で人間をおどすだろうか。山の仕事をする人間は、これに負けてなるものか。」と、ある日朝から仕事を休んで、炭焼く木を斬る大きな鉈を一日中鋭く研いだ。そして晩方、炭焼き小屋から家路にかかった。果たせるかな、闇夜に山の方から「行くじぇー、行くじぇー」と声がした。炭焼きの男は、大きな鉈を振り上げながら「来るなら、来ねかぁー」と云った。すると箒星のような大きな光り物が大きな音を立てて、飛んできて炭焼きの男の足元にどさっと落ちた。炭焼きの男は「このやろう、負けるものかー」といいながら、鉈でその光り物をめちゃくちゃ斬った。その晩、炭焼きの男は青くなって「今夜は、化け物を斬った。」と言って寝た。翌朝そこへ行ってみたら、大きな雉の雄が、さんざん斬られて死んでいた。

この話は"光り物の正体"を暴いたような話でもある。遠野でも、多くの"光り物"の話がある。ただし、多くは浮遊する人魂の様な話であるが、唯一小友町の菊池某氏の体験した、彗星の様な光り物の話が、この雉の話に近いのかもしれない。岩手県では、昔から歳取った雄の雉の尾の節模様が十二以上あるようになると人を騙すと云われる。この化け雉と綾織の阿部さんが目撃した雉は、決して同じものでは無いだろうが、雉が光ると云う共通点と、岩手県の雉についての伝承の共有意識からの話であったのか、とも思えてしまうのだった。
by dostoev | 2017-08-01 06:20 | 民俗学雑記 | Comments(0)
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