遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
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大同年間の事などなど

大同年間の事などなど_f0075075_19483495.jpg

岩手県だけでなく、東北全体に建立された神社仏閣の年代の多くが坂上田村麻呂に縁を持つもので大同二年、もしくは大同元年とされている。それが現在も奇妙だとされ、まともに扱われてはいないのが現状だ。それは大同年間に坂上田村麻呂は、既に東北の地を去っている為に、おかしいとされているのだ。

大同年間に建立されたという神社仏閣が東北に多いのは、大同年間が恐らく東北の文明開化の年では無かっただろうか。蝦夷国では、山は直接拝むものであって、神社を建立して拝む文化は無かった。それが蝦夷国が平定されて落ち着いた頃に、朝廷側の文化である神社仏閣建立の波が押し寄せたのが大同年間では無かったか。

江戸時代後期の町人学者である山片蟠桃(1748~1821年)は、過去の歴史上の聖山の開山及び神社建立は、下記の様に私利私欲の為であると批判している。

「役小角・空海・行基・最澄をはじめ、その他の高僧、貴僧と称らせれているものは、みな無鬼のことをよくわきまえてのち、人主を欺き、権家を偽り、堂社を建てさせ、本地垂迹そのほか、さまざまの偽飾をのべて自分の私欲をはたし、開山・祖師と尊ばれて、千年の後に至っても祭祀され…。」

奈良の大仏を建てようとしていた聖武天皇時代に、東北で金が発見された。それまでの金は輸入に頼っていたものが、国内で発見された事は大きかった。まあ発見されたというか、既に東北には採掘・治金の技術が合って、その金を献上したという事になるのだろう。しかしそれによって東北は、大きな注目を浴びる事になり、多くの宗教人が東北に足を向けた。山の沢沿いに、不動の滝や不動岩と名付けられているものがあるのは、かって山伏が山道を開発した名残りだと云われる。山伏を中心に、東北の山々は調べられ、採掘されていった。故に山片蟠桃の言葉は、間違いでは無かった。

話は飛んでしまったが、延暦21年(802年)に坂上田村麻呂は、アテルイ・モレを降伏させ、処刑までに至っている。つまり蝦夷のボスを倒したのが坂上田村麻呂だ。蝦夷国平定後でも、反逆の火はくすぶっていた様だが、サル山のボスザル争いでは無いが、アテルイを降伏させた坂上田村麻呂はある意味、蝦夷国のボスの座に就いたとの判断がなされたのかもしれない。そのボスの威光を借りて神社仏閣の由緒に坂上田村麻呂の名を組み込んだのは、アテルイを降伏させた坂上田村麻呂の生々しい力の記憶を呼び起こさせる為、つまり坂上田村麻呂の名とは、建立された神社仏閣を守る為の魔除けの意味合いを持っていたのではないか。
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ところで、遠野側と大迫側の早池峯神社の由緒に若干の違いがある。遠野側は、あくまで大同元年に始閣藤蔵が早池峯山頂に奥宮を建てたとするが、大迫側の由緒には遠野の始閣藤蔵を登場させ、同時であったと云う由緒にしている事から、あくまで遠野側を意識した由緒としている。ただ気になるのは、大迫側の由緒に二荒山の伝承らしき記述がある事から、後の時代に拝借し創ったものではないかという疑念が生じる。

早池峯山頂の奥宮は、背後を北とし、前方には遠野が広がる。早池峯妙泉寺という里宮は、斉衡年中とされる事から、奥宮建立の約五十年後の事になるのだろうか。その建立に名を連ねるのが慈覚大師円仁であるが、それが正しいかは別として、比叡山延暦寺を総本山とする天台宗が、早池峯妙泉寺に関わったと云う事が重要だろう。天台宗は星の宗教とも云われる様に、北辰を重要視する。かの比叡山も北斗七星が降った霊山とされている事から、この早池峯にも北辰という信仰を重ねただろうと推測される。何故なら、大迫の田中神社側も認めている様に、大迫の早池峯神社は、遠野の早池峯神社の遥拝所として建立されている。事実、早池峯を信仰する神社であるなら、その背後に早池峯が来なくてはならないのだが、大迫の早池峯神社は、遠野の早池峯神社側に向けて建てられている。これは、遠野の早池峯神社経由で、北に聳える早池峯を拝むと云う方違いの呪術でもあるのだと思える。つまり、遠野側の早池峯妙泉寺が建立された後に、遠野側に向けて大迫の妙泉寺が建立されたものであろう。だからこそ、由緒にも遠野側が大同元年としているのに対し、大迫側が大同二年としている年代のズレは、大迫側が遠野側より遅く建立したという証明を暗に認めている為であろう。

「遠野の社寺由緒考」を記した大川善男氏が指摘していが、南部氏は各藩の由緒を南部藩の歴史に組み込んで改竄しているという。例えば上郷町に伝わる中井明神と云う龍神を従える伝承もまた、南部藩の威光を伝える為に捏造したものであろう。早池峯と関係ある寺社に、東禅寺というものがある。その東禅寺は臨済宗であるとされるが、大川氏は東禅寺の礎石などから推測して、それは天台宗のものであると断定した。その東禅寺の無尽和尚とは、ある意味謎の人物ではあるが、盛岡の東禅寺との関係も指摘されている。しかし、東禅寺跡が天台宗であったならば、それは恐らく早池峯妙泉寺の別の里宮であった可能性がある。そして、天台宗において"無尽"とは北辰を意味する言葉でもある事から、やはり無尽和尚とは、天台宗の僧であると思わざる負えない。それでは東禅寺という寺社名はどこから来たものかと思えば、やはり南部氏の介入を疑ってしまう。
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東禅寺跡の側に、何故か南部守行の墓がある。南部守行(1359~1437)は、三戸南部氏第13代当主であり、しばしば遠野にも出勤したと伝えられる。1437年、大槌孫三郎との戦で流れ矢に当り死に、その遺体は遠野の東禅寺まで運ばれ埋葬されたというのが常々疑問だった。その南部守行の墓は、南部守行の墓を中心に殉死者十二名の墓が左右に配置されている。いわゆる十三塚となっている。殉死者という事は、南部守行を埋葬した後に家臣が後を追って自決したという事になるか。しかし、それは有り得ないだろう。恐らく本来は、薬師如来と十二神将の信仰を、南部守行に変えて被せたものではなかろうか。何故なら薬師如来は、妙見神の本地でもあるからだ。この東禅寺跡が星の宗教と呼ばれる天台宗の地であったならば、当然の事ながら北辰を中心とした信仰形態であったと考える。道路を隔てて、この南部守行の墓と東禅寺跡は向かい合わせとなる。これは早池峯と山師岳の関係にも似通っている。そして阿曽沼氏の居城であった、旧横田城跡に薬師堂と妙見の碑がある事を考え合わせると、阿曽沼氏を裏切る形で為政者となった南部氏は、あくまで盛岡南部を中心とする基礎を作る為、信仰面の改竄を施した結果が、創られた遠野東禅寺の伝承では無かっただろうか。南部守行を、意図的に不動の北極星に据えようと考えたのだろう。とにかく岩手県の歴史は、かなり南部氏によって改竄されたような気がする。阿曽沼氏もまた、同じ事をしたのかもしれないが、最終的に残っている文献は南部氏の息のかかったものであるから、阿曽沼氏の意図までは断片的にしかわからない。早池峯という山を巡っての支配の遍歴が、あらゆるものを隠している可能性はあるだろう。岩手三山の伝説に、男山は岩手山で、本妻は姫神山、妾は早池峯。いやそれば逆であるなどというものがあるが、これもまた支配の遍歴の名残からのものであろう。遠野の町も、時代と共に変化していった。恐らく当初は、土淵から附馬牛にかけてが遠野の中心であり、支配していたのは安倍氏であったろう。そして奥州藤原氏滅亡の後に、遠野を統治した阿曽沼氏が松崎の山に、横田城を築き、町を作ったのが鎌倉時代。その後の17世紀後半に、鍋倉山に横田城を移転させ、その城下に遠野の町を作り、現代に至っている。為政者の交代による信仰的支配の変遷が、遠野の伝承を複雑なものにしているのかもしれない。九州の俘囚の者達の記録に、瀬織津比咩の名を呼ぶ記述の古文書がある事から早池峯信仰は、山の女神である瀬織津比咩への信仰が、観音信仰より早かった可能性がある。天台宗の布教により、神への信仰が観音信仰に変化したのかもしれない。とにかく、岩手の歴史と信仰の、あらゆるものの見直しが必要であろう。
by dostoev | 2017-05-08 22:38 | 民俗学雑記
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