遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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「遠野物語18(栄枯盛衰)」

「遠野物語18(栄枯盛衰)」_f0075075_11152466.jpg

ザシキワラシ又女の児なることあり。同じ山口なる旧家にて山口孫左衛門と云ふ家には、童女の神二人いませりと云ふことを久しく言伝へたりしが、或年同じ村の何某と云ふ男、町より帰るとて留場の橋のほとりにて見馴れざる二人のよき娘に逢へり。物思はしき様子にて此方へ来る。お前たちはどこから来たと問へば、おら山口の孫左衛門が処から来たと答ふ。此から何処へ行くのかと聞けば、それの村の何某が家にと答ふ。その何某は稍半離れたる村にて、今も立派に暮せる豪農なり。さては孫左衛門が世も末だなと思ひしが、それより久しからずして、此家の主従二十幾人、茸の毒に中りて一日のうちに死に絶え、七歳の女の子一人を残せしが、其女も亦老いて子無く、近き頃病みて失せたり。

                           「遠野物語18」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
毒キノコを食べて全滅した時、よその家に遊びに行って難を逃れた女の子の名をミナと言い、当時は六歳であった。晩年はオミナ婆と呼ばれていた。子供は居なかった為に養子を貰って家系は継がれたが、血筋は絶えてしまったようだ。

ところで解せないのは、山口孫左衛門の滅びた前兆にザシキワラシが家から出て行った事だ。「遠野物語21」でもわかる様に、山口孫左衛門は狐によって家を富ます術を得ようとしていた。また、山口家の歴代の戒名に金や鉄の名が記されているのは、代々山師を生業としていたからだとされている。稲荷は鋳成でもある事から、山口孫左衛門が信仰するのも理解できる。その山口孫左衛門の家系は、現在のダンノハナにあった山口館の開祖から始まったとされ、孫左衛門で三十六代目であったそうな。
「遠野物語18(栄枯盛衰)」_f0075075_1330256.jpg

その山口館があったダンノハナから見れば、対岸にはデンデラ野があり、眼下に孫左衛門の屋敷がある。対岸のデンデラ野の奥には、山口孫左衛門の祀る稲荷社と妖狐の墓がある。妖狐の墓は先代が埋葬したものであり、その傍らに稲荷社がある。これから考えても、山口孫左衛門は山口全体を支配していたのだろう。

豪農として表される山口孫左衛門だが、山口川上流にある金堀沢の経営や、笛吹峠にある青の木鉄山などに関係していたという。靑の木は鬼の伝説があり、その青の木の語源は、仰向けに倒された鬼から「あおのき」となったとされる。その鬼であるが、笛吹峠には魔物が出ると云うものは、採掘・治金で働いていた人夫が旅人を襲っていたものを魔物と称したようだ。そして、その鉱山には外国人労働者が居たのがわかっている事から、土淵に伝わる山人・山男・天狗などの伝説は、その外国人に遭遇した人々から伝わった可能性はある。そしてそれを主に伝えたのは、もしかして山口一族であっただろうか。そしてその山口一族の没落は、ザシキワラシが逃げ出したものではなく、鉱山の枯渇に関係しないだろうか。山口一帯を支配できたその資金源が鉱山からもたらされたものであるならば、その終焉もまた鉱山からのものではないかと思えてしまう。

ところで、ザシキワラシは山口の家を出て稍離れたる村に行ったようであるが、「奥州のザシキラワシの話」によれば、それは大船渡市猪川町の稲子沢の家であったそうだ。「遠野のザシキワラシとオシラサマ」によれば、その稲子沢が財を成したのは正月の夢に、ある館の跡に三十三の花を付けた山百合があるから、その根を掘ってみろという夢告に従い、胆沢の館跡に咲いた山百合の根を掘って、黄金のの入った壺を七つ得て長者になったとされる。この夢告である伝説もまた、稲子沢家が採掘に関する者であった事を証明するものではなかろうか。そしてその稲子沢の祀っている氏神とは、山口孫左衛門と同じ稲荷神であった。この稲子沢氏もまたザシキワラシが家から出て行って、裏山にそのザシキワラシの足跡が付いていたと伝えられる。この時系列がよくわからないが、山口孫左衛門の家が亡び、その後に稲子沢の家が、やはりザシキワラシが出た為に滅びたのだろうか。それとも、稲子沢の家が、山口の家の経営する鉱山を乗っ取ったものであろうか。山口家と稲子沢家のどちらも、鉱山に関係する家であるならば、その埋蔵される金が先に枯渇したのが山口の家で、その後に稲子沢の家であったのだろう。とにかく、ザシキワラシは山口の家から稲子沢の家へと移り住んだ。しかし結局、そのどちらも没落し、今では稲荷社だけが寂しく残っているだけであった。

ザシキワラシの話は、後付けでは無いかと思う。遠野市の隣の釜石市も、最盛期は鉱山と製鉄所で人で溢れかえり、人の住む場所にも困っていたという。それが鉱山が閉鎖し、暫くして後に新日鉄釜石が撤退してからというもの、釜石市は死んだようになってしまったのも、ザシキワラシが出た為だと置き換えてもおかしくはないだろう。山口家や稲子沢家のように、新たな未来を見つける事が出来無く没落した家には、後から「ザシキワラシが出て行った為だ。」と、何処からともなく囁かれたのではなかろうか。それとは別に考えられるのは、ザシキワラシとは、富んだ家を没落させる為の存在ではないかという事。今まで何となく、ザシキワラシの入った家は裕福になると思えていたが、こうして調べて行くと裕福になった家に後から棲み付いたザシキワラシは、その家の幸を奪って出て行く魔性の存在にも思えてしまう。
by dostoev | 2015-04-05 19:41 | 「遠野物語考」10話~
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