遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
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「遠野物語拾遺159(夢の継承)」

「遠野物語拾遺159(夢の継承)」_f0075075_1243091.jpg

これは佐々木君の友人某という人の妻が語った直話である。この人は初産の時に、産が重くて死にきれた。自分では大変心持がさっぱりとしていて、どこかへ急いで行かねばならぬ様な気がした。よく憶えていないが、どこかの道をさっさと歩いて行くと、自分は広い明るい座敷の中に入っていた。早く次の間に通ろうと思って、襖を開けにかかると、部屋の中には数え切れぬほど多数の幼児が自分を取巻いていて、行く手を塞いで通さない。しかし後に戻ろうとする時は、その児等もさっと両側に分れて路を開けてくれる。こんなことを幾度か繰り返しているうちに、誰かが遠くから自分を呼んでいる声が微かに聞こえたので、いやいや後戻りをした。そうして気がついて見ると、自分は近所の人に抱きかかえられており、皆は大騒ぎの最中であった。この時に最初に感じたものは、母親が酢の中に燠を入れて自分に嗅がしていた烈しい匂いで、その後一月近くもの間、この匂いが鼻に沁み込んだままで痛かったという。産をする者には、この酢の匂いが一番効き目のあるものだそうで、それも造り酢でなければ効かぬといわれている。

                                                    「遠野物語拾遺159」

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冬山でブランデーなどを気付け薬として使用したドラマを見た事があるが、アルコール度数の強い酒も確かに気付け薬となるのだろう。一般的には炭酸アンモニアが古代ローマ時代から使用されていたようだが、日本ではやはり強烈な臭気の酢となるのだろうか。酢は応神天皇の頃に中国から伝わったようで、かなり歴史も古い。ただ米酢であるとか果物酢であるとか、ここでの作り酢の原料は何であるかはわからない。ただ、槇佐知子「今昔物語と医術と呪術」には「鬼に打たれた病の治療法」として「上等の苦酒を両方の鼻孔中に吹き込む。」とある。これは、葛洪という古代中国の考案した医療法であり、これが日本にも伝わっていたようだ。古代中国では、鬼は死である事から、死線を彷徨うのも鬼に打たれ事になるようである。そして「苦酒」とは「酢」である事から、恐らくこの話で使用された酢とは酒から造った酢ではなかろうか。

ところで初産の時の不安はかなり大きいらしい。現代とは違い、出産時に死ぬ例も多々あった事から、様々な不安が頭を過るのだろう。その不安の形が、この話に現れている。C.G.ユング「心理学的類型」を読むと、夢診断も含め抽象化する思考や感情には、宗教的感情を加えるのが適切であろうという判断を下している。また、アンドレア・ロック「能は眠らない」を読むと、刺激的な夢にはドーパミンが大量に分泌されるようだ。そして、その夢の中でも白日夢の様な、夢なのか現実なのか本人が理解出来ない夢がある。しかし、その白日夢を含めて登場しない夢があるという。それは、日々の生活や仕事の中での、例えば計算する・ものを書く・読むなどの極端な変化の無いものだという。確かに、日常の仕事が事務などの計算ばかりで過ごす人の夢が、やはり計算ばかりする夢であるのは、まさに夢が無い夢となる。

大抵夢とは、その人の認識するものが夢に登場する場合が多い。しかし、夢のストーリーの多くは、動物や見知らぬ他人や化物が、夢見る者の恐怖を呼び起こす存在として登場する場合が多いという。恐らくそれは、古代から続く祖先の夢を継承しているのでは無いかとの仮説が立てられている。例えば祖先が狩猟民族時代に野生動物に追われた体験が強く残り、それが種族に夢として継承されるが、それはその時代の文化や個人体験、そして知識によって、その追われる対象の書き換えが成されていると。つまり、野生動物に追われた体験が、昨今のゾンビブームに相まって、野生動物では無くゾンビに追われる夢に書き換えられるというもの。夢による祖先意識の継承の大抵は、脅威や恐怖であるという事だというが、そうなれば輪廻転生の話まで行き着く。確かに遺伝子というものは過去から受け継がれた情報である。その遺伝子という情報が夢に影響を及ぼすならば、確かに祖先の体験したものを受け継いでもおかしくはないのだろう。例えば子供が、小さな犬や猫、もしくは郊外で子狐やリスなどの小動物に出逢った時、追いかけてしまうというのは狩猟民族時代の名残を継承している為だと云われる。となれば、その個体に継承されている情報には、見た目の顔形や体形だけでは無く、本能的なものも含め、夢もまた継承されている可能性を強くは否定できないだろう。

ユングが思考や感情に宗教観を加えるという考えもまた、祖先の継承となるのだろう。「遠野物語拾遺159」に登場する女性は初産だという事から、恐らく過去には堕胎は無かったものと思える。しかし、遠野の歴史の中には、夏前にヤマセが吹くと飢饉を察するので、生きてはいけないだろう赤子などを間引きしてきた歴史がある。昭和50年代に、秋田県のある民家の庭先から、多くの赤ん坊の骨が発見された事件があったが、其の骨は祖先から続く習俗の継承でもあった。そう、間引きである。今でこそ、間引きは逮捕となるのだが、昔は自らが生きる為に許される暗黙の了解であった。つまり、夢には祖先から継承されたものがあるのならば、その初産の女性の祖先には多くの間引きした幼児がいたのではなかろうか。その延々と継承された祖先の間引きの歴史が、初産の時にフラッシュバックの様に現れてしまったと思ってしまうのだ。脳に対する刺激物であるドーパミンによって祖先の夢を継承し、やはりその家に継承される刺激物である酢によって現実に戻ったという話が「遠野物語拾遺159」であったのだろうか。
by dostoev | 2014-12-20 22:15 | 「遠野物語拾遺考」150話~
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