遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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「遠野物語拾遺151(人魂)」

「遠野物語拾遺151(人魂)」_f0075075_17115515.jpg

次は遠野町役場に勤めている某の語った実話である。この人の伯父が大病で長い間寝ていた頃のことであるが、ある夜家の土間に行きかかると、馬舎の口から火の魂がふらふらと入って来て、土間の中を低くゆるやかに飛廻った。某は怪しんで、箒を以て彼方此方と追廻した後に、これを傍らにあり合わせた盥の下に追い伏せた。しばらくすると外からにわかに人が来て、今伯父様が危篤だから直ぐ来てくれと言う。某はあわてて土間に降りたが、ふとこの火の魂のことに気がつき、伏せておいた盥を開けてから、出かけた。程近い伯父の家に行って見ると、病人は一時息を引取ったが、たった今生返ったのだとというところであった。少し軀を動かし、薄目をあけて某の方を見ながら、俺が今こいつの家に行ったら、箒で俺を追廻した揚げ句に、とうとう頭から盥を冠せやがった。ああ苦しかったと言って、溜息をした。某は恐ろしさに座にいたたまれなかったという。

                         「遠野物語拾遺151」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この「遠野物語拾遺」には、いくつかの幽体離脱の話が紹介されているが、それが火の魂・人魂という形で語られているのは、この「遠野物語拾遺151」だけである。火の魂・人魂は、しばしば"光物"という表現で、遠野では多く語られていた。自分も、明治生まれの婆様から、いくつかの光物の話を聞いた事がある。また「遠野今昔」においても、綾織の阿部某の著には、いくつかの光物の記述がある。ただ光物は、人魂であるのか、もしくは狐火であるのか定かでは無いが、総称して光物と言っているようである。
「遠野物語拾遺151(人魂)」_f0075075_17531158.jpg

江戸時代中期に編纂された百科事典である「和漢三才図会」では人魂を上記の画像のように、光の玉が尾を引いている形で描かれている。神田左京「不知火・人魂・狐火」によれば、人魂の話は支那にもアメリカにもヨーロッパにも見当たらないとしている。幽霊は全世界共通であるようだが、人魂という概念は日本独自であるようだ。昭和4年の朝日新聞のコラムでも人魂は取り上げられていたらしく「人魂は、幻覚でもないと同時に、また何かの光覚を錯覚化したやうなものでもなく、全くある特別の光体であるやうに考へられ…。」と記述されている。
「遠野物語拾遺151(人魂)」_f0075075_187839.jpg

以前、夜の五百羅漢へ行き、新滝の辺りを撮影した時、気になる光りが写っていたので、それを拡大トリミングしたのが上記の画像だ。「和漢三才図会」の人魂の絵の様に、尾を引く光が写り込んでいた。

日本に伝わる人魂の俗信には、耳の中から物が出るという。そして、その人は二、三日で死ぬ。もしくは、10日余りで過ぎてから死ぬ事もあると。そういう意味では「遠野物語拾遺151」の伯父が人魂が解放されて息を吹き返したのに当て嵌まる。

面白い話として、明治大学教授松村定次郎氏は、東京で多くの人魂を見かけたそうだ。その人魂を東京では二種類に区別して、名称を分けたという。ランプの光のように黄色く、頭の大きい尾を引くのを「人魂」と呼び、青白く強い光で尾が短いものを「金玉(かねたま)」と呼んだそうである。早稲田大学の大槻教授が「人魂は球電だ。」と唱えた時代に、読売新聞を読んだ時「ロシアの科学者、人魂調査で来日」という記事を目にした。内容は何故、日本の人魂は大きいのかという疑問の元にロシアの科学者が来日したという。つまり、人魂という概念は日本だけでは無かったという事か。いや恐らく、訳の問題であろうから、大槻教授の球電という言葉を、人魂として訳したのかもしれない。
「遠野物語拾遺151(人魂)」_f0075075_18403297.jpg

数年前、夜中に薬師岳へ登り、遠野盆地を撮影している最中、東の方から赤い光の玉が飛んできて、カメラの前でUターンしていった。その時のシャッター速度は30秒露光であった為に、その赤い光の軌跡だけが画像の左隅にだけ写り込んでいる。眼下は崖なので、とても悪戯撮影など出来ない状況下であった。ただ感覚として、遠野では人が死ぬとその魂は、御山に昇って行くという言葉がある。その御山とは、遠野で一番高い早池峯山を云う。薬師岳は早池峯山の前に聳える前薬師とも呼ばれる、早池峯山への通り道でもある事から、この光る物体は早池峯へ向かうのかと、漠然とそう感じたのを覚えている。

明治時代の国語辞典「言海」では、「人魂とは「燐火の地より起りて飛ぶもの。人の魂と想像す。大抵頭円く、尾長く、色青白くして赤味あり。地を去る事甚だ高からず、徐に浮かび行、人魂火。」。また「辞林」という辞書には「夜間、空中を飛行する燐火。多くは青白くして尾を引く。古来人のたまなりといひ伝へたり。」。他にも「流星又は夜地から出て、空中へ飛んで行く燐の火。」であるとしているが、神田左京氏は「燐の火なら、高くも低くも、地から出て空中へ飛び出す筈が無い。固体である燐が、地からどうして出て来るのか?全く乱暴な考えだ。」と否定している。他にも燐化水素説、メタンガス説、無熱のガス説、微生物説、流星説など様々な人魂の正体説が云われ続けたが、球電説は、その中でも比較的新しいのだろう。しかし、エゲル・ジョルジ「謎の発光物体 球電」を読んでも、その発生のメカニズムさえ解明されていない。ただ、様々な人魂の正体説がある中で一番、「球電」の可能性が高いのだと感じている。ただそれでも、その球電が人の生き死にに関わって発生したのなら人々はやはり、「人魂」と呼び続けて伝わっていくのだろう。
by dostoev | 2014-10-18 19:29 | 「遠野物語拾遺考」150話~
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