遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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新説「遠野」語源考(とおの宮)

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遠野の語源は、未だにトオヌップという「湖のある地」の意味を持つアイヌ語を採用している。しかし以前、遠野の考古学調査をしていた考古学者に聞くと「湖というより、尾瀬みたいな湿地帯だったと思います。」との発言と、遠野の町の歴史と民俗を照らし合わせれば、確かに湿地帯であっただろうという説は納得するものだった。

ただ、こうして「遠野物語」「遠野物語拾遺」を読んでいると、遠野の里とは早池峯を中心とした里であるという認識を深くしてしまうのだった。自分が好んで調べている早池峯山と神社に祀られる神とは、単なる田舎の里に祀られる神では無く、かなり謎が深く、古代の日本では重要な神であるという事がわかっている。考えてみれば、歴代の為政者達も、早池峯には敬意を表してきた。それは南部氏や阿曽沼氏もそうだが、奥州藤原氏も、その祖である安倍氏もそうであった。つまり、その地を支配するにあたり、避けるわけにいかないのが早池峯の神であったようだ。

2011年の津波の後、現在の愛媛県に住む、かっては河野水軍として名を広めた河野氏の末裔も、家に代々伝わる安倍氏と早池峯の神に対する恩から、津波の復旧を手伝いに来てくださった方もいる。遠野市民が思っている以上に、早池峯の神は全国に広く崇敬されているのだった。

その早池峯神社の神は、伊勢神宮にも天照大神の荒御魂として荒祭宮に祀られている。しかしそれとは別に、延暦23年(804年)の皇太神宮儀式帳及び延長5年(927年)の延喜太神宮式には、天照大神の遙宮が伊勢神宮の別宮としてあった。その遥宮の以前は瀧原宮とも云われた。その遥宮には現在、天照大神と共に、天照大神の荒御魂が祀られている。天照大神の荒御魂は、遠野の早池峯大神でもある。

その「遥宮」だが、どう読むかというと「とおの宮」と読む。単純に訳するなら「遥か遠くに天照大神の荒御魂を祀る宮」とでも言おうか。早池峯神社の成立は大同元年(806年)と云われており、遥宮の成立した2年後でもある。つまり、伊勢神宮に祀られていた早池峯大神を、蝦夷国平定の為に、早池峯という山に祀り、蝦夷国に設置した遥宮としての遠野では無かったかと思う。つまり遠野は、早池峯大神を祀る遥宮であり、遠野宮なのだと考えてしまうのだ。ただ検証すると、早池峯の神は、それ以前にも祀られていた痕跡はあるので、改めて朝廷の権威の元に祀られたと考えても良いのではなかろうか。伊勢神宮の遥宮が、早池峯の御山に守られた遠野という地であるという考えに魅了されている自分がいる事も確かだが、曖昧なトオヌップというアイヌ語説よりも「遥宮(とおのみや)=遠野宮(とおのみや)」の説は、魅力的であると思うのだ。
by dostoev | 2014-06-11 09:49 | 遠野・語源考 | Comments(0)
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