早池峯神社の例大祭で、早池峯大神である瀬織津比咩の御霊を乗せた神輿が境内を出る前に駒形神社へとより、駒形神の神霊を乗せる。駒形神とは馬の神でもあるのだが、それはつまり、早池峯大神が馬に乗る事でもある。
「遠野物語」や「遠野物語拾遺」にしばしば登場する馬に乗った貴人とは、早池峯大神である瀬織津比咩であった。
陰陽五行において「火の三合」を見ると、火は虎に生じ、午に盛んになり、戌に死ぬという。その火が盛んなのが馬である今年という事である。五行相剋においては「水剋火」となり、火を抑えるのが水である。
「水の三合」を見ると、子に盛んであるとなっているが、子の方角は北である。つまり、早池峯大神は北に鎮座する早池峯山の神であるという意識が強く、岩手県内の早池峯大神である瀬織津比咩を祀る神社の殆どが、早池峯を北に意識して祀られている事から、早池峯の神は北に位置する水神である認識が強いのだろう。神道の基本である火と水の融合は、左手の「火(ひ)」と右手の「水(み)」とを合わせる事から始まる。ゆえに早池峯大神の神霊が神輿に於いて駒形神と結び付くのは、遠野の伝承の中に生きる馬に乗った貴人と称される姿となって表されている。
ところで話は変わって、昔よく
「火遊びをすると寝小便をする。」とよく言われたものだ。火の不始末で火災がしばしば起きたのは、昔の屋根が茅葺屋根で燃えやすいという事もあった。江戸時代では、放火は重罪であり死罪となるほどの重い罪であったのも、火を消火する術がなかなかできなかったせいもあって、一軒燃えれば他の家々にも燃え広がった為だ。その火の始末をきちんと出来ない子供に任せるのは火災の元であるという認識から、子供に対して火の禁忌が与えられたのが、寝小便という子供にとっての重大事件であった。いろいろな俗信の中、寝小便の神にも祈願したという。画像はその寝小便の神の人形だが、この人形を小さな子供が見たら、怖くてびびってしまい、逆に小便をちびそうになると思うのだが(^^;
とにかく火と水は、生活の中にうまく結び付けられて語り継がれているようだ。今年が火の盛んな午年であるならば、それこそ火災などには気を付けるよう、鼠をどこかに潜ませる呪術か、水そのものを常に意識する事が必要になろう。そして今年の夏は、特に暑くなりそうな気配だ…。