遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
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「わたしの怪奇体験談(その4)」

 幽霊屋敷に泊った翌年の一月十五日、わたしの成人式の日であった。会場である市民センターへ友と共に、わたしは向かった。
 
会場に着いたわたし達は、式の開始時間にまだ間がある為、女性の化け姿の観賞会に、その時間を当てることにした。何とも言えぬ、化けキツネ、化けタヌキたちの艶姿はわたしたちに対し、笑いを与えてくれたのだった。普段の馬鹿笑いが出来ぬ程、お白いで顔面を固め「ホ、ホ、ホッ、そうなのよ…。」などと澄まし言葉で会話している様は、まるでキツネとタヌキの化かし合いである。これが笑わずにおられようか。

 と、その時であった。場内放送で、わたしの名が呼ばれたのである。わたしは理由がわからぬまま、その呼び出された部屋へと向かった。小さな応接間らしき部屋のドアを、わたしは開けた。中にいる中年とおぼしき男三人が、わたしを迎えた。一人はこの市民センターの職員である。あとの二人は、IBC(岩手放送)ラジオ局から来た人たちであった。

 すぐさまわたしは名刺を貰った。見るとIBCラジオ・ディレクター姉帯〇〇と書いてある。要件は、わたしに幽霊屋敷での体験談を語って欲しいとの事であった。これには、わたしも驚いた。噂とは、ここまで広まるものかと…。まあ、とりたてて隠すことでもないので、わたしはそれをOKした。ラジオ出演も、たまには良いものである。

 わたしは幽霊屋敷に泊った時の事を、詳細明瞭に、声の抑揚を踏まえ、ややオーバー・アクション気味に話した。だが、僅かの緊張があった為か少々早口になったきらいがあった。が、OKサインが出た。 わたしは帰り際に粗品として、IBCのネーム入りのボールペンを貰い、その場を後にしたのだった。
                  
 このIBCの突然の介入により、わたしは忘れかけていた幽霊屋敷での出来事を思い出した。いや、思い出しただけならば良かったのだが、その晩から、今度はわたしの家で奇妙な出来事が、相次いで起こり出したのである。そしてその奇妙な出来事は、きっかり一週間だけ続いたのであった。そう、後にも先にも一週間だけであった。ではここでその恐怖の一週間を、一晩ごとに語ってみよう。

                   

    第一夜 風鈴のプレリュード


 成人式のその晩、わたしたちは晴れて酒宴を開いた。まあ酒宴といっても、別段珍しくもないのだが、酒宴というものは名目があれば、何度でも飲んで騒ぎたいものなのだ。そしてこの成人式というのも、単なる名目にすぎないのである。
 
成人式の晩はどの飲み屋に行っても、成人式に出席した連中でいっぱいである。まるで遠野の飲み屋全体が、成人式の連中の為に貸し切りになっている様であった。わたしはその夜の様相に、嬉しさを隠しきれなかった。何故なら、タダ飲みが出来るからである。
 
遠野の学校は、ある意味殆どがエスカレーター式みたいなもの。遠野の人間が皆、ものぐさなのかどうかは知らぬが、地元以外の学校へと行こうとしないのだ。地元を愛しているというものではなく、要は地元から出るのが面倒くさい、というのが正解であろう。それ故、小学校、中学校、高等学校と、転校性を除けば殆ど皆同じ顔ぶれなのだ。そのようなことから、成人式に出席した連中は、皆知った仲なのだ。知った仲というのは…「ようっ!ひさしぶりっ!」という元気な一言で、初めからいるグループの会話の中に割って入ることが出来る。すると…。

「おうっ!どうだ、飲んでけよ。」 

という言葉が必ず期待できる。そして頃合を見計らい一言。

「途中で悪いけど…。」

 舞い上がっている最中、この言葉を吐けば、誰も金を払っていけとは言わない。このパターンで、いくつもの飲み屋をハシゴすることが出来るのである。ただ良心の問題にかかわってくるのだが…。
 
その晩は結局、五軒くらいハシゴしたであろうか。家に帰ったのは、午前二時を少々回ったくらいであった。わたしは、酒の飲み過ぎと疲れの為、非常に眠かった。服をむしる様に脱ぎ捨て、急いでベットに入り、寝ようとした。だが、である。何故か、眠いのに寝れないのだ。わたしは一生懸命、眠る努力をした。それでも寝ることが出来ないのだ。寝ることができない自分に、いらだちを感じている。とにかく目だけはつぶって、知らぬ間に、夢の世界に入れることを望んでいた。しかし、その様なことをしていながらも、体は夜の気配を探っていた。

 静かな夜であった。かすかに、風の気配を感じとることが出来る、そんな中であった…〃あの音〃が、聞こえてきたのである。そう〃風鈴の音〃である。初めは『ああ、風鈴が鳴っているな。』と、簡単に考えていたのだが、よくよく考えてみると今は冬である。冬に風鈴の音など合わないのである。それに今日、忘れかけていた幽霊屋敷での出来事を思い出したばかりである。わたしは恐ろしさのあまり、目をギュッと閉じ、布団を頭から被った。だが、どんどん近づいて来るではないか。ついに部屋の中まで入って来た。だが、目を開けて〃それ〃を確める勇気がでない。すると、わたしの真上まで来たようだ。音がゆっくりグルグル回っている。だがその音も、三度程回った後に消え去ったのである。そしてわたしはというと、その後すぐに、完全な睡魔に犯され、眠りの世界に入ったのであった。

                   
    第二夜 擬音のシルエット


 翌朝、わたしは9時過ぎに目覚めた。いつもより早い時間である。そして、その目覚めと共に、わたしはあの風鈴の音のことを考えてみた。もしや、酒の飲み過ぎと疲労とが重なった為の悪夢ではなかったかと…。しかし考えたとして、そんなに簡単に答えが出る問題ではない。ただ言えるのは、やけにリアルだったことと、二日酔いの為か、やけに頭がガンガンするということだけだった。 とりあえず、親に顔を見せる為、下に降りてみることにした。
 
玄関で靴を履いていた時、わたしの祖母が何やらおかしなことを言った。

「昨日来たのは、万君かい。」

わたしは、意味がわからず「はっ?」

尚も、祖母は続けた。

「おまえ、昨日夜中の二時過ぎに帰って来たろう。」

「ああ…。」

「その時、一緒に来たのは、万君だろ。」

「はっ?」
 

わたしは、祖母が何を言っているのかわからなかった。それに、万は成人式に出席せずに、現在東京にいるのだ。わたしは祖母に、返答した。

「なに言ってんだよ。俺は昨日、一人で帰って来たんだぞ。」

 すると、祖母が言うには、

「それじゃ、明け方早く帰って行ったのは誰だい。あれは万君じゃなかったのかい。」

「はっ?」


 わたしは益々、訳がわからなかった。まさか、ドロボウが入った訳ではないだろ。だが、わたしと一緒に来たと言っているし、時間も正確に言い当てている。どうやら、ボケた様ではなさそうだ。
 すると祖母は、衝撃的なことを言ってのけたのだった。

「あの体型は、わたしゃ万君だと思ったんだがね。確か、白い服を着て…白い帽子も被っていたよ。」


『!?…。』


 わたしは一瞬、背筋が凍りついた様だった。白い服、白い帽子。まさか、白装束。そして白い帽子とは、三角布では…。そうであるならば、昨晩のあの出来事は納得したくないが、納得できる。わたしはついに、〃あれ〃を家まで連れてきたのだ。わたしは玄関を飛び出し、親許へと向かった。

                   
 わたしの家は、食堂を営んでいる。まあその他に、いくつかのテナントやアパートを貸している。そしてわたしが、そこの息子になるのである。わたしは、親が営んでいる、食堂へとやって来た。
 店内には、客の姿は無く、暇そうにしている母の姿だけがあった。わたしはその母の側へと向かった。

「お早う。」

「あらっ、〃早いね〃。」
皮肉っぽく、母は言った。

「…。」

「昨日は何時頃、帰ってきたの。どうせまた午前様だろうけどね。」

「確か、二時過ぎだったけど。」

「ほぉ~っ。」呆れ顔で、母は言った。

「まあ、これも付合いだから仕方ないな。」


 わたしは、自己弁護の言葉を吐いた。すると、怒った口調で母は言った。

「何が仕方ないだっ!毎晩、毎晩、遅く帰ってきて。本当にあんたはどうしようもない夜鷹だね。少しは夜、出ないで、店を手伝いなさいよっ!」

 どうやらわたしの母は、機嫌が悪い様である。

「ところで、父さんは?」

「知らないよ!またどっかに遊びに行ってるんだろっ。」


 どうも原因は、ここにありそうである。

「それより…。」

「なに。」

「…。」


 わたしは、ためらった。何故なら、わたしにとり憑いたであろう霊を取り除く為に、霊媒師の元へ行こうとしているのだが、それに母の承諾と金を得ようとしているのだ。しかしそんなことなど、はなっから相手にされないに決まっているからだ。

「どうしたの、何か言いたい事があるんでしょ。」

「いや、実は…。」

「なによ。」


 わたしは、とにかく言ってみることにした。

「去年の夏に俺、幽霊屋敷へ行ったろ。」

「それが?」

「もし俺がそこの幽霊を、家に連れてきてたらどうする?」

「はあ?」

「もしその幽霊の為に、俺の人生が狂ったとしたらどうする。」

「…で、何が言いたいの。」

「ん~っ。…小友に、ある霊媒師がいるそうなんだけど、ちょっと行ってきていいかな?もしかしてこれは、俺の一生に関わる問題になるかもしれないし…。いや最近、変な事がいろいろあるんだ。やはりこれは小友に言って、観てもらったほうが良いと思うんだ。どうかな?」

「なに馬鹿なこと言ってるの。それより早く食事にしなさいっ!」

 
やはり母には、わたしの真剣さが理解してはもらえない様であった。だがわたしは、この母の否定により、霊媒師の元へと走るのが面倒になった為、それを中止することにした。何故ならわたしは、周囲のおだてや、盛りあげにより自意識が高揚するのに、それが無い場合、あっさり引き下がる性質を備えているからだ。
by dostoev | 2013-04-08 16:24 | わたしの怪奇体験談
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