遠野一日市の作平という家が栄え出した頃、急に土蔵の中で大釜が鳴り出し、
それが段々強くなって小一時間も鳴っていた。家の者はもとより、近所の人
たちも皆驚いて見に行った。それで山名という画工を頼んで、釜の鳴ってい
る所を絵に書いて貰って、これを釜鳴神といって祭ることにした。今から二
十年余り前の事である。
「遠野物語拾遺93」
御神体である釜鳴神様は現在、遠野博物館所蔵となっており、そのレプリカは遠野昔話村に展示している筈だったが、現在4月のリニューアルオープンに合わせて、見る事は出来ない。そして画像の社も御神体の無い為、本来は釜鳴神様の社である筈が、そこに稲荷を祀っているようだ。