盛岡市玉山区の多岐神社。ここには、瀬織津比咩が祀られている。縁日は9月29日という事だから、自分の誕生日と同じなので、親近感を覚える。
この社の背後には国道が走り、以前は鬱蒼とした神社の杜があっただろうと意識せざるおえなかった。神社のそばには沢が流れていたが、ここも以前は水量が豊かであった事だろう。境内は、よく掃除されていて綺麗になっていたが、どこか寂しい感じはぬぐえなかったのも、やはり以前と比べて木と水が減った事に起因するだろう。
この多岐神社の背後には姫神山が聳えている。まるで姫神山に向けて建てられた神社であるかのようだ。
同じ玉山区には、熊野山神社(現・熊野神社)が鎮座している。姫神山山頂には熊野神社を祀り奥宮と称していたという。姫神山の西口にいた熊野山峰泉寺万宝院が玉山の馬場熊野山に熊野権現を祀り、前宮と称していたらしい。どうも姫神山の奥宮、前宮のどちらにも熊野権現を祀っていたらしいが、熊野権現とは広義的には那智の神を示すらしい。那智の神の御神体は有名な那智の滝となる。つまり滝神を姫神山の奥宮と前宮に祀っていたという事になる。
熊野神社の祭壇には、権現が祀られていた。やはり熊野権現を祀っているという意識の為か。そしてこの熊野神社もまた姫神山に向けて建てられている。玉山区の多岐神社が何故に姫神山に建てられているのかを考えた場合、やはり熊野権現が那智の滝神である事を意識してのものではなかろうか。