田舎で暮らそうと、遠野だけではなく自然の豊かな田舎に定年後移り住む人達が増えてきているという。
”豊かな自然”とは響きが良いのだが、その綺麗な自然には様々なものが潜んでいる…。
とある夫婦が、亭主の定年後都会からある田舎に引っ越したという。自然の中で、のんびり野菜を作りながら自給自足で余生を過ごそうとしたらしい。しかしだ、都会生活に慣れ親しんでいると、自然に潜む生物に対する免疫ができていないのか、庭を這いずり回る
蛇や、青虫・毛虫の類やら蚊・蛾・虻・蜘蛛・蜂など様々な虫たちに遭遇し、真っ先に奥さんが嫌気をさし逃げ出したという。
「虫愛ずる姫君」は平安時代の作品だが、その平安時代でも虫を好む女性というものは珍しく、ある意味”変態”みたいな扱いとなっている。女性というものの大抵は
”虫が嫌い”というのが一般的になっている中、自然の中で生活するというのは、生物の中でかなりの種類と数が存在する虫との共存を果たさねば、田舎での生活はままならないものだ。
現在、被災地で
緊急に必要な支援物資に含まれるものに、
殺虫剤があるという。啓蟄から虫が大量に発生し、夏場に向けてピークになる。その中で厄介なものに、直接人体に関与する蚊や虻や蜂などがいる。
普通であれば殺虫剤は各家庭で用意しているのだが、未だに体育館などで避難している人達にとって、建物の隙間から人の生き血を求めて侵入するやぶ蚊などは、とても厄介な虫である。その他にも安全性を求めてか電子蚊取り線香なども支援物資に含まれているのは今後、益々虫の被害が増えるからだろう。
民俗を調べても、虫除けの呪いがある事から、古くから虫は忌み嫌われてきたのだろう。
「古事記」においても黄泉の国でスサノヲに蜂の部屋に入れられた大国主が蜂の攻撃から身を守る為に、スセリ姫からもらった
”蜂除けのヒレ”で難を逃れる。そんな虫を好きだという人間はやはり、「虫愛ずる姫君」ではないが変り者のレッテルを張られてしまうのだろう。とにかく虫の好き好きは別として田舎だけでなく、どこでも生活するには最低限の虫に対する免疫は必要なのだろうね。