これは、最近の出来事である。ある日、前からの予約で夫婦一組だけの泊りがあった。実は、座敷ワラシに興味を持っている夫婦でもあり、ネット情報から自分の宿に辿り着いたようであった。いや正確には、奥さんの方だけが興味があり、旦那は「いるわけないだろ。」という両極端な夫婦であったが…どこか夫婦で、楽しそうでもあり…(^^;
その翌朝の事であった。奥さんの方が起きて来るなり「昨夜、こんな事があったんですよ!」と。聞くと、どうやら何時かわからぬが、寝ている最中に「トン、トン…。」と、誰かが扉をノックする音が聞こえたという。とにかくその晩の客は、その夫婦一組だけであった。夜中にノックする人物がいる筈も無し。ましてや宿主である自分も夢遊病ならいざ知らず、その頃はグッスリ寝ていた筈である。
とにかくその夫婦、寝ぼけまなこで頭がボーッとしている最中に、誰かが部屋に入って来たという。そういう怪奇現象をまったく信じない旦那の方も、夢うつつの中、その気配を察したのだと。当然の事ながら、妻の方は大喜びで話し、旦那は否定しつつも、完全否定できないようで、奥さんが勝ち誇っているようでもあった…(^^;
過去を振り返ってみると、その部屋では…もう5年以上前のの話であるが、神戸から泊りに来た若い女性二人が、一階のカウンターで自分と夜の11時過ぎまで話していた。それから部屋に戻ったのだが、テレビを付けながら雑談をしていたという。そうするとテレビの後の壁が「ドン!ドン!」と誰かが叩いたので「すみませ~ん!」と声をかけてからテレビの電源を切ったそうである。その翌朝、壁を叩いたであろう隣の客が気になったのか、そのテレビの後ろの壁裏を調べたそうだが、実はその壁の裏とは、階段の上の人がどうしても届かない空間であった。その話を半分楽しそうに語ってくれた記憶が鮮明に残っている。
また遡る事平成の三年か四年頃の二月の初めの事だった。泊り客はゼロで日であったが、やはり同じ部屋を御見合いに貸していたのだが、夜の7時頃にいる筈の無い子供が階段を上り下りするのを目撃。その後、見合いした2人は、めでたく結ばれたというが、関連があったのだろうか?
しかしこうしてたまに客がそういう体験をするのを、どう考えて良いのだろうか?一般的には遠野であるから座敷ワラシとして捉えてみたいものの、商売は不景気の煽りをモロに受けて厳しい状況が続く。また客から、その後の報告を聞いた事が無いもので、こういう体験が良い方に向いたのか、悪い方に向いたのかさえ、まったくわからない。ただ確実に言えるのは、自分に禍が向いている気がするのは気のせいだろうか?