遠野の不思議と名所の紹介と共に、遠野世界の探求
by dostoev
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「遠野物語拾遺56話(篠権現)其の一」

「遠野物語拾遺56話(篠権現)其の一」_f0075075_1322890.jpg

「村の鎮守篠権現の境内で、遊び友達とかくれんぼに夢中になっているうちに、中堂の姥神様の象の背後に入り込んだまま、いつの間にか眠ってしまった。 すると、これやこれや起きろという声がするのでむ目を覚まして見ると、あたりはすっかり暗くなっており、自分は窮屈な姥神様の背中にもたれていた。 呼び起こしてくれたのは、この姥神様であった。外へ出ようと思っても、いつの間にか別当殿が錠を下ろして行ったものとみえ、扉が開かないので、仕方無しにそこの円柱にもたれて眠りかけるとまた姥神様が、これこれ起きろと起こしてくれるのであったが、疲れているので眼を開けてられなかった。こうして三度も姥神様に呼び起こされた。 その時、家の者や村人達が多勢で探しに来たのに見つけられて、家に連れ帰られたという…。

                         「遠野物語拾遺56話」

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この「遠野物語拾遺56」の話が載っている地が小友町の土室という地である。遠野と小友を結ぶ峠の一つに土室峠というのがあり、その峠から小友町への入り口に、この篠権現がある。

「小友町勝蹟誌」によると、地元伝説として「御室様」として納めた佐々木某のお札は、海の神様ではなかったか?と言われているようだ。「御室様」というと、同じ小友町の堂場沢稲荷の脇にある奇岩を「御室様」と呼んで祀っている。「御室」というと、諏訪の「御室神事」が思い浮かぶが、もしかして諏訪の影響があるのでは無いかと考える。
「遠野物語拾遺56話(篠権現)其の一」_f0075075_13242767.jpg

【堂場稲荷 奇岩の御室様】
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【御室社】

中世までは、諏訪郡内の諸郷の奉仕によって半地下式の土室が造られ、現人神の大祝や神長官以下の神官が参篭し、蛇形の御体と称する大小のミシャグジ神とともに「穴巣始」といって、冬ごもりをした遺跡地である。 旧暦12月22日に「御室入り」をして、翌年3月中旬寅日に御室が撤去されるまで、土室の中で神秘な祭祀が続行されたという。諏訪信仰の中では特殊神事として重要視されていたが、中世以降は惜しくも廃絶した。

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「御室神事」について調べると、上記の事が書き記されていた。上の写真は堂場沢稲荷脇にある、岩の塊と、その中にある「お室様」と呼ばれる岩穴。この岩穴は不思議な岩穴とも呼ばれ、なんでも、そこに物を投げ入れると、戻ってくるとか、穴に向かって呼びかけると返事が返ってくるなどと云われている。

土室には「隠れ里」という伝説も付随しているのだが、これは秀吉の小田原征伐に出兵しなかった葛西家が没落し、この土室の地で百姓として密かに生活した事から隠れ里であるとも云われる。その時に、所持していた武器を地に埋め建立されたのが篠権現だという。その時を1631年だと伝えられ、祭神は少名彦命を祀っている。ところでこの少名彦命は、蛇と繋がりのある神だと云われる。

篠権現の大額があるのだが、これは楠で作られた額のようだ。某人物が、海釣りをしている最中、難破船を発見し、その難破船の破片を持ち帰り死者の霊を弔う為に、その難破船の破片を大額として篠権現に飾ったのだという。吉野裕子によれば、篠や笹などの竹類もまた蛇の見立ての木となる。この土室という地に建立された篠権現は、蛇という意識を意図的に植えつけて名付けられたのでは無いか?と思ってしまう。

また大額に楠が採用されたというのも、意味深ではある。何故かというと、楠は東北では珍しい樹木で、主に西日本で顕著であり、有名どころとしては、九州か紀伊となる。「枕草子」において清少納言は、楠を指してこう述べている。
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くすの木は、こだち多かる所にも、ことにまじらひたてらず、

おどろおどろしき思ひやりなどうとましきを、千枝にわかれて

恋する人のためしにいはれたるこそ、誰かは数をしりていひは

じめけれんと思うふに、をかしけれ。

* 簡単に訳せば…楠の欝蒼と茂る姿を想像するだけで不気味で
  嫌な感じだ…と言っている。

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清少納言の頃の平安時代、楠は不気味なイメージを持つ樹木だったようだ。ところで当時の人名を調べると、樹木の名前を持つ人には「楠」と「松」の二本が際立っているらしい。

実は、更に歴史を遡れば、縄文時代から脈々とその姿を根付かせていた樹木とは楠であり、松は弥生時代となり、渡来系の人々が持ち込んだ、神の依代としての意味合いを持った樹木であったようだ。人名に用いられた「楠・松」は実際、松は観念的なもので、楠と比較しても、その樹齢はたかが知れているらしい。しかし渡来系の文化が普及して、都では清少納言のように不気味さを感じさせる樹木としての評判が広まったようだ。これは、縄文文化の衰退を現す。しかし、その楠を讃える文化圏は西日本の中でも、紀伊と九州であったようだ。

ところで紀伊といえば、熊野がある。その熊野で祀られる神にクマノ”クス”ビノ命という神がいるが、この名前にあるクスとは熊野神を勧請した時に楠を植えたという伝説からの神であるとも云う。つまり熊野信仰圏には、一つの楠文化があったのだろう。

話を戻すが「御室神事」を調べてみると「諏訪神道縁起」によれば、御室神事に使用される土室とは、別名「蛇の家」とも呼ばれていたようだ。その形は三輪山に見立てたような円錐形である。この形は、縄文時代の竪穴住居に篭り、御神体の蛇の前で、神官、つまり蛇巫によって行われる蛇託宣であるという。またこの円錐形は、鏡餅と同じ、蛇のとぐろを巻いた姿を意識してのものだという。

この情報を頼りに考えると、遠野の小友町にある土室とは、そのまま蛇信仰が盛んであった地であり、その地に建立された篠権現もまた諏訪の「御室神事」の影響を受けて、蛇を祀っている神社であったのだろう…。
「遠野物語拾遺56話(篠権現)其の一」_f0075075_1330985.jpg

篠権現社は、小友の村社である巌龍神社に合祀されている。巌龍神社とは、遠野の小友町にある創建がわからないという古くからある神社である。その御神体とは、神社の背後に聳える俗に不動巌と呼ばれる、岩の断崖で、過去に不動尊を祀った関係から不動巌と呼ばれるようになったようだ。また上記の写真を見ると、何やら蛇腹ぽい跡が付いているが、これは蛟龍の昇降した跡であるという伝説が付随している。蛟龍とは牝龍であり、この不動巌の根元には聖水が湧き出る泉だという伝説もあり、この地もまさに天眞渟名井の伝承が伝わった地である事がわかる。またこの巌龍神社には、維新以降だが、中世に創建されたという弁財天を祀る厳島神社も合祀されており、まるで巌龍神社に、小友中の龍(蛇)を集中させている感かする。

小友町に通じる峠の一つに、小友峠というのもある。この小友峠の途中には、やはり白龍(白蛇)を祀るニ郷神社というのがあるが、この神社の背後もまた屹立した岩の断崖となっている。実は、この神社の創建には、巌龍神社と同じ山伏系列の人間が開山し、巌龍神社と同じ形態で祀っている。そしてやはりというか、聖なる泉が湧くという伝説と共、実際に清い水が湧いている為、今でもその水を汲みに、多くの人が訪れている地でもある。
by dostoev | 2010-12-06 13:37 | 「遠野物語拾遺考」50話~
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