瀬織津姫を祀る、滝ノ沢神社。一緒に祀られているのは味耜高彦根命の后である天御梶姫となる。この天御梶姫の「御梶」の本来には「甕」という漢字があてられていたようだ。
味耜高彦根命は、大国主と宗像三女神のタキリビメの間の子であり、同母の妹に下照姫がいる。下照姫といえば、遠野の倭文神社に瀬織津姫と一緒に祀られている祭神でもある。そして瀬織津姫は、宗像の三女神の一人とも云われている。つまり同族の神が、この滝ノ沢神社に祀られているという事がわかる。そして物部氏系と云われる丹内山神社の末社となるのが、この滝ノ沢神社でもある。丹内山神社境内には、早池峰山拝石があり、また丹内山神社の祭主が藤原清衡であった事から、蝦夷と物部氏、そして瀬織津姫の繋がりをうかがい知る事ができる。
内部には、御神体として鏡がある。伊勢に伝わる伝承で「天照皇太神荒魂」を称して
天下の化り成す名は曰、天照皇太荒魂荒祭の神と也。
祓戸神謂者は、瀬織津比咩是也。御霊の形は月殿に於いて、
天鏡尊鋳。三面第二の神鏡、是也。
つまり瀬織津姫もまた天照大神と同じく、鏡にいつく姫神であるのだろう。
そして案の定、この瀬織津姫を祀っている滝ノ沢神社にも、沢山の不動明王像が祀られていた。